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水の国の王は転生者
第七十五話 新体制
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屋で、大きなガラス窓から日の光が照らされていた。

「……」

 マクシミリアンは執務室の中を見渡す。
 この執務室は、父エドゥアールが倒れた場所で、死後、内装もそのままで放置されていたが、マクシミリアンがそのまま自分の執務室として利用する事を決めた。

 ガラス窓を背にする形で、ドカリと大きな椅子に座り、目の前の机を手でさすった。

 掃除が行き届いていて、塵一つ見当たらなかった。

「これが父上が最後に見た光景か……」

 マクシミリアンは父が何を思って逝ったのか、今となっては誰も知るものは居ない。
 遺言の類は一切残さず、文字通り急死したからだ。

「……よし!」

 パァン!

 マクシミリアンは気合を入れる為に両手で自分の両頬を叩いた。
 滅入った気力を奮い立たせ、机に向かい直すとノックとともに家臣達が書類の山を運んできた。

「失礼いたします、陛下」

「今日のノルマはそれだけか?」

「左様にございます」

「結構。机の上に置いたら下がってよろしい」

「失礼いたしました」

 家臣達と入れ違いにカトレアが執務室に入ってきた。

「失礼いたします。マクシミリアンさま」

「カトレア、今日はそれほど多くないから休んでもいいんだぞ?」

「いいえ、早く仕事を終わらせれば、二人だけの時間が作れるじゃありませんか」

「そうだな、では早いところ済ませるか」

「はい、マクシミリアンさま」

 そう言ってカトレアは、机に山積みされた書類に目を通し始めた。
 王妃であるカトレアも時間があるときはマクシミリアンの仕事の手伝いをしている。

 大き机には広げられた多種多様な書類に目を通し承認の判を押す。
 そのサイクルを繰り返す事、一日数百……場合によっては千を越す日もある。

 即位から一ヶ月、単純労働ながら腱鞘炎になりそうな重労働で、実際腱鞘炎になってしまったがそこは『ヒーリング』で回復させた。
 そんな重労働もカトレアが分担してくれているので、仕事を次の日に残す事は無く、滞りなく済ます事ができた。
 他の家臣達は王妃カトレアがマクシミリアンの仕事を手伝っている事を知っていた。
 即位したばかりのマクシミリアンは、王太子時代の名声もあって、権力をマクシミリアンに集中させる成功したが、カトレアは自分が公務を手伝う事で権力がマクシミリアンとカトレアとに二分される事を恐れ、何かにつけマクシミリアンを立てた。

 その事が功を奏したのか、カトレアに取り入って中央政界に食いつこうとする野心家は居なかった。







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 マクシミリ
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