第七十五話 新体制
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すか?」
「仕事と言ったって、マザリーニ達が持ってきた書類に目を通して判を押すだけだからな。その書類が上がってくるのは大抵は午後だ。午前中はわりと暇だよ。ていうかカトレアも仕事手伝ってくれてるだろ?」
「そうでしたね。それでは行きましょうか」
そういう訳で、午前は気分転換もかねてカトレアとマリアンヌの部屋へ向かった。
「母上、ご機嫌は如何でしょう?」
「マクシミリアンにカトレアさん、忙しい中来てくれてありがとう」
喪服姿のマリアンヌは弱々しい笑顔で二人を労った。
先王エドゥアールが死んで以来、マリアンヌはまるで世捨て人の様に朝起きると大聖堂に足を運んではエドゥアールの冥福を祈り、日が暮れると王宮に戻る。そんな生活を送っていた。
「紅茶とショコラの二つがあるけど、二人はどっちは良い?」
「僕は紅茶で」
「なら、わたしはショコラを」
「私はショコラにするわ、紅茶とショコラを淹れて上げて頂戴」
「畏まりました」
マリアンヌ御付のメイドが、三人分のカップに紅茶とショコラを注ぎ三人の前に置くと頭を下げ部屋から出て行った。
「お義母様、お変わりはありませんか?」
「心配しないで、私は元気よ」
「それは何よりです。アンリエッタも心配していたしたから、後で仲直りして下さいね」
「分かっているわ、マクシミリアン。あの時はアンリエッタに酷い事を言ってしまったものね」
エドゥアール先王の死からある程度回復したマリアンヌは、錯乱していた時に行ったアンリエッタへの仕打ちを後悔していた。
「次はアンリエッタを連れて来ましょう」
「今、アンリエッタは何をしているのかしら?」
「自室で勉強をしていますよ。母上の前で言う事ではありませんが、先の事がアンリエッタの成長を促したのでしょう」
「……駄目な母親ね私は」
傷口に塩を塗りこむマクシミリアンの言葉に、再びマリアンヌは小さくなった。
「あんまりですマクシミリアンさま! お義母様、スコーンもいかがかしら?」
「ありがとうカトレアさん。こんな私に優しい言葉を掛けてくれるのは貴女だけよ」
よよよ、と芝居がかって泣くマリアンヌ。
「お義母様が泣かれてしまったわ」
「嘘泣きだろう。カトレアだって分かっているんだろ?」
「お義母様は反省されいますよ。わたしには分かるんです」
「カトレア自慢の直感か。まあ、反省しているなら僕も強い事は言いませんよ」
「ありがとうカトレアさん」
こんなやり取りをして、三人は日が暮れるまで語り合った。
……
予定通り、午後は王宮の執務室で仕事だ。
王宮の執務室は、国王の仕事場という事もあって、中々に広い部
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