第七十五話 新体制
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いんだ。それに自身の研究の事もある。問題なくこなせるだろうが過労死されたら元も子もない」
優秀な人材を失う事は、宝石を失う事よりも重大な事だとマクシミリアンは恐れた。
「ええっと、それでしたらダグーさんは?」
「ダグーも良いけど、彼にはトリスタニア駐留の近衛軍の司令官を任せたいし、もう少し経験も積ませたい」
「それなら……」
カトレアも一緒になって悩んでいると
「僕としては、義父殿……ラ・ヴァリエール公爵を押したい所なんだけど……」
「それは、止めておいた方が良いと思います」
「うん、分かっている」
王妃の父であり同時に強力な外戚でもあるラ・ヴァリエール公爵が中央政治に出張るような事があれば、後々災いをもたらす事になるとカトレアは危惧していた。
トリステインの永い歴史を紐解けば、外戚が王を差し置いて政治を動かす事などいくらでも前例はあったが、カトレアは既に王家の人間だ。だからこそ、その様な自体は絶対に許すべきではないと思っていた。そういう意味でカトレアは自分の立ち位置を理解していた。
「最近、元帥に昇格したグラモン伯爵は……」
「大量の薔薇の造花などの用途不明金が計上されそうですから、止めて置いた方が良いと思います」
中々カトレアも辛辣だった。
「仕方が無い。後任が育つまで僕が兼任しよう」
「現状では仕方ないと思います。ですが余りご無理をなさらないで下さい」
「分かっているよ。心配してくれてありがとう」
マクシミリアンはカトレアを抱き寄せピンクブロンドの髪を撫でた。
結局、残った総参謀長の椅子は、ラザールが兼任する事になった。
『働き過ぎないように、週一で顔を出すようにしよう……』
優秀な人材には、とことん甘いマクシミリアンだった。
☆ ☆ ☆
国王となったマクシミリアンは、カトレアとの住居を新たに新宮殿から王宮へ変更した。
「せっかく新宮殿に慣れてきたのに残念ですね」
カトレアが残念そうに言った。
カトレアは魔法学院に入寮しマクシミリアンが新世界捜索の為、新宮殿を空けていた事から二人が新宮殿で暮らした時間は一年と満たなかった。
「仕方が無いさ、国王が王宮に住んでなきゃ締まらない」
「あの四階のバルコニーで、マクシミリアンさまと飲む紅茶がとても楽しみでしたわ」
「王宮でも気に入る場所が見つかるさ」
「……そうですね」
少し寂しげなカトレアの笑顔に、マクシミリアンへ行くことを進めた。
「今日は母上の所へ行こうか」
「でも仕事の方はよろしいので
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