第三十六話 恐ろしい強さその一
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第三十六話 恐ろしい強さ
咲は母に言われた黄金時代の西武の強さを知りたくなった、それでクラスの野球部の溝口というやや面長で頬が目立ちややニキビが多い顔の彼に尋ねた。
「あの、溝口君野球は何処ファン?」
「プロだよね」
「ええ、何処なの?」
まずはこのことから尋ねた。
「一体」
「西武だよ」
彼は咲にこう答えた。
「親戚に西武グループで働いてる人いるから」
「それでなのね」
「そうなんだ」
「そうなのね、じゃあね」
それならとだ、咲は内心西武ファンから西武のことを聞けるなら話が早いと思いながらそのうえで応えた。
「昔の。強かった時の西武知ってるかしら」
「ああ、あの頃だね」
これが彼の返事だった。
「無茶苦茶強かったよ」
「そんなになの」
「成績見ればわかるよね」
「ええと、毎年優勝してたわね」
「日本一ばかりだったね」
「そうだったわね」
「八十二年からね」
昭和五十七年からである。
「もうその頃から九十四年まで優勝しなかった年が二回だけ」
「ええと」
八十二年から九十四年と聞いてだ、咲はその歳月を指折って数えてから言った。
「十三年ね」
「その間優勝しなかったのがね」
「二回だけね」
「十一回優勝してるんだ」
「パリーグで」
「それで日本一はね」
それを果たした回数はというと。
「八回だよ」
「物凄いわね」
「巨人も王さん長嶋さんの頃は凄かったよ」
「九連覇ね」
「そうしたからね」
野球界いや日本スポーツ界の暗黒時代である、邪悪が日本を支配してしまったというべきであろうか。
「あの頃の巨人もね」
「凄かったのね」
「九連覇以前にも隔年で日本一になっていたしね」
「そうだったの」
「十三年で十一回日本一になっていたよ」
当時の巨人はというのだ。
「だからね」
「あの巨人も凄くて」
「それでね」
「その頃の西武もなのね」
「無茶苦茶強くて」
それでというのだ。
「それだけ優勝して」
「日本一になっていたのね」
「選手も揃っていたから」
当時の西武はというのだ。
「最初は東尾さんや田淵さんがいたし」
「田淵さん阪神の人だったわね」
「そうだったけれど」
「西武におられた時があったの」
「そうだったんだ」
「そうなのね」
「阪神のイメージが強い人だけれど」
それでもというのだ。
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