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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
課題
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眉間にシワを寄せる。まずは無難にストレートのサインを送り、彼女も頷く。しかし、投じられたボールは彼女たちの不安を打ち砕くものだった。

「ストライク!!」

疲労もピークであるはずなのに普段の状態と変わらないボールを投じる陽香。それには心配そうに見ていた少女たちも顔をひきつらせていた。

「この局面でこれだけ投げれるか……」
「すごい気合いだね」

続く二球目も力のあるストレートを投げ込み簡単に追い込む。続く三球目、莉愛は彼女の決め球でたるスライダーのサインを送る。

(外に逃げるスライダーでいきましょう)

見せ球を使うのもありだがここは彼女の力を信じての三球勝負。右打者から外に逃げていくスライダー。ボールを要求したつもりだったが、力が入ったのかわずかに内に入る。

(でもいいコース!!)

高さもコースもギリギリの絶妙のコース。これには打者も手が出なかったのか見送る。

「ボール」
「!!」

見逃しの三振に取ったと思ったところで予想外の判定。莉愛は驚いた反応をしていたが、何事もなかったかのように陽香にボールを返す。

(コースかな?次こそは振らせて三振を取りたい)

あまりにもいいボール過ぎて審判も迷ったのかと思いながら続けてスライダーのサインを送る莉愛。今度はうまくバットを振らせて空振り三振。

「ナイスボールです!!」

予定通りの結果に満足そうな表情の莉愛。しかし、なぜか三振に取った陽香とベンチからこれを見ていた莉子と真田は不満げだった。

「あれ?莉子ちゃん何か怒ってる」
「いや……別に怒ってるわけではない」

ウソだぁ、と言いながら彼女の頬をつつく優愛。そんな彼女を莉子は睨み付けると、優愛も驚き隣にいた葉月の後ろに隠れる。

「ほら!!やっぱり怒ってる!!」
「今のは優愛に怒ったんだよ〜」

同級生からの当たり前すぎる突っ込みに舌を出す優愛。その隣にいた明里はタメ息をついていたが、三年生たちは大笑いしていた。

「それで?なんでそんな機嫌悪いの?」
「見てればわかるよ」

彼女の視線の先……キャッチャーをしている少女の方を全員で直視する。何球か見ていると少女たちは違和感を感じ始めた。

「何か変だけど……」
「それがなんだかわからないんだけど……」

違和感こそ感じるがその理由がわからない栞里と伊織。優愛と葉月もその違和感の正体が何なのかわからず顔を見合わせていたが、明里はそれに気付いていた。

「キャッチングが流れてますね……でも毎回じゃないような……」

キャッチャーは際どいコースをストライクを取ってもらえるようにフレーミングという技術を習得する。莉愛もある程度それができていたはずなのに、なぜかこの局面ではそれが崩れているのだ。

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