第一部 1977年
潜入工作 その3
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攻撃も、光線を出すBETA共の前では無力に等しい
原子爆弾を超える新型爆弾や、高速で移動し全方位攻撃が可能な新兵器でも出来れば話は違うが、それも夢物語であろう
新進気鋭のウイリアム・グレイ博士の下、ロスアラモスの研究所で実験がなされているのは報告に上がっている
カールス・ムアコック、リストマッティ・レヒテ両博士が、《戦略航空起動要塞》計画に、斬新な手法を持ち込んで研究をしてることも把握している
但し、今回の作戦には間に合わぬであろう事
そうすれば、日本が中共で実験した新型兵器を使って、時間稼ぎをしたい
新彊を実験場にし、広大な破壊力と高速移動可能な動力を持った大型機
リバース・エンジニアリングをして分析してみたいが、それを許さぬほどの厳重な警備
日本政府に問い合わせた所、『府中、宮中の別』と言う事で、手出しできなかった
そのような新型兵器をうまく誘い出させるような政治状況を作らねばなるまい
深く状況を憂慮する大統領に、FBI長官が、上申した
「閣下、恐れながら申し上げます」
会議に居る全員が振り向く
「日本に対する工作ですが、人質に近しいことができる状況下にあるのです」
項垂れていた顔が持ち上がり、彼の方を向く
「実は、かのブリッジス家の令嬢と、懇意にしている日本人がおりまして。
彼は貴族、なんでも至尊の血族、数代遡ると父方がそれに連なる子孫、と伺っております
彼は、件の令嬢と、朝雲暮雨の間柄、との報告を受けております」
副大統領が、乗り出す
「南部人のブリッジス大佐が、良く、その様な黄人との間の仲を許したな」
彼は、副大統領の方を向いて語る
「いや、その様な報告は受けておりませんので、どの様に思っているのか、解りかねます」
会議の間、黙っていたCFR(外交問題評議会)の重鎮とされる老人が口を開いた
本来、このような人物は、参加すら出来ぬのだが、歴代大統領との《親密な関係》と言う事で、《ホワイトハウス出入り御免》の立場にあった
「つまり、君はこう言いたいのかね。貴族の子弟とブリッジス嬢との間に、子を成させて、それを人質にすると……」
彼は薄ら笑いを浮かべながら老人の方を向いた
「はい。すでに手筈は整っております」
一同が驚愕の声を上げる
CIA長官は厳し顔つきになると、彼に向かって、面罵した
「貴様がそれほどまでに恥知らずだとは思わなんだ。
人間の顔を被った悪魔とは、貴様を指し示すにふさわしい」
興奮した男は、立ち上がって彼を指差し、罵倒し続けた
「純粋な人の恋路を邪魔して、剰え政治の道具にするとは、人非人という言葉ですら生ぬるい」
赤面した顔で、男はなおも続ける
「ラマ僧に聞いたことがあるが、仏教においては、六つの世界があり、餓鬼道、というものがあるそうだ。
貴様の政治的貪欲さ
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