外伝 利根編 01 利根四号機
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、石油の輸出禁止などもその戦略の一環であった
ルーズベルトにとって、日本との戦争は単なる呼び水に過ぎず、本命はあくまでヨーロッパ戦線のナチスドイツ軍であった。言ってみれば、日本はアメリカとイギリスの事情に巻き込まれたに過ぎなかったのである
これに対し日本はあくまでアメリカとの対立は避け、不足する石油資源は東南アジア諸国を同胞とすることで確保しようとしていた。にも関わらす、本山はアメリカに牙を剥く事を主張し続け、結局は開戦に踏み切った
これは、明らかに利敵行為であり、ルーズベルトとの密約があったと疑われても不思議はない・・・・利根はそう考えていた
本山六三八の乗っていた陸攻の動向は、アメリカ側に完全に掌握されていた。恐らく本山は、自分はアメリカと通じている為、撃墜されるわけはないと高をくくっていたのかも知れない
だが、アメリカ側からすると、そのような無謀で不自然な行動を、仮にも海軍のトップが行ったとなれば、少なからず本山にスパイ疑惑が持ち上がらないとも限らない。他にも内通者がいたとしたら、本山から芋ずる式にスパイが摘発される恐れもある
大東亜戦争の大勢は既に決していた
頃合いとばかり、本山は口封じに撃墜処分されたのではないか・・・・そう利根は思っていた
(2021年6月12日 執筆)
今となっては、真相は確かめるべくもない
言ってみれはこれは利根の・・・ただの《妄想》である。
いずれにせよ、今となっては最早どうでもいいことである
艦娘として生まれ変わった今の利根は、請われるままに様々な艦隊を転々としていた。さながら傭兵のようでもあった
それでも、当時の事を思うと赤城達には同情の念を禁じ得ない。それは今でも変わらなかった。だから、ミッドウェー組からの要請があれば、何を置いても呼びかけに応じた。細かい説明はいらない・・・・
空母と航巡という艦種の違いはあれど、お互いがお互いを認めあう戦友のようなものである
「・・・・退屈じゃのう・・・」
今日も利根は、退屈凌ぎに傭兵紛いの日々を送っていた
筑摩 01 筑摩の憂鬱 につづく
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