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絶撃の浜風
外伝 利根編 01 利根四号機
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巡、6隻の軽巡、39隻の駆逐艦に23隻の潜水艦という、大日本帝国海軍の主要な艦艇が集結していた

 油槽艦の護衛のためだけにこの陣容というのは、言い訳にしてもいかにも苦しい

 特に超弩級、弩級戦艦を全て投入している。燃料消費も、とんでもない事になっていたはずである

 つまりそれは、大日本帝国海軍の、ミッドウェーにおける戦いへの本気度の現れと見て取れる

 にもかかわらず、虎の子の空母機動部隊のみを密集陣形にして最前線に晒すという愚を行った。これはどういう事であろうか

 これらの艦艇の半数でも直営に当たらせ、輪形陣で防空に当たらせていれば、このような事にはならなかったのではないか?

 そもそも、麻雲が取りやめにした二段索敵であるが、水母を全て第一機動部隊に編入させていれば、35〜6機の偵察機が運用可能であった
 
 二段索敵は、余裕で可能だったはずである

 
 これらの事を鑑みるに、少なくとも、2隻の空母と水母、護衛として重巡8隻程度を合流させていたら、戦況はもっと違ったものになっていたかも知れない

 





 後に利根は筑摩に語っている




「あの戦争の敗因は、麻雲中将と本山六三八司令長官にある。麻雲は元来水雷屋で機動部隊司令の器ではなかったし、本山は恐らく敵国と通じておったんじゃろうのう」



 艦娘として、この世に再び生を受けた、艦娘「利根」は、深海棲艦との戦いの合間に、大東亜戦争の顛末や、本山六三八その他の主要人物について調べていた


 利根の個人的なレポートによると、本山六三八撃墜死事件、所謂海軍甲事件は、色々と不審な点が多い事が記されている。何故あのような敵の制空権近くをろくに護衛も付けずに陸攻で飛行したのか。とてもではないが、全軍を率いる海軍のトップのする事ではない




 これは利根の憶測であるが、本山六三八は、学生時代、アメリカに留学していた時期がある。当然アメリカの国力も、その実力も、一般的な日本人よりもはるかによく知っていた


 にも関わらず、アメリカとは戦争をしない条件で東南アジアへの出兵を承認した昭和天皇の意に反し、本山は執拗に真珠湾攻撃を主張した
 この案が受け入れられないのなら、総大将を辞するとまで言い切った。戦後よく引き合いに出される人格者としての本山像からは想像もつかない愚かで無謀な振る舞いであった

 
 当時のアメリカ大統領ルーズベルトは、イギリスのチャーチル首相の要請で、ヨーロッパ戦線への参戦を画策していたが、肝心の米国民が他国の戦争への介入を嫌っていた
 そこで日本を締め上げ、アメリカに宣戦布告させ、国民を開戦へと誘導しようとしていた。ハルノートによる満州鉄道の利権要求、満州からの引き上げ要求
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