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絶撃の浜風
外伝 利根編 01 利根四号機
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もいたにもかかわらず、である


 意図的に見過ごされたのではないとしたら、これは司令部の重大なミスである


 その後利根四号機は無事帰還している為、当時の索敵時の航法の関係上、羅針儀の故障や更正ミスの可能性は低い

 もし司令部がこの報告に疑問を持ち、航海士の伝達ミスであることに気付いていたら、戦況は大きく変わっていた可能性が極めて高い。いかな麻雲でも、雷装への再換装は無理だと判断したであろう


 利根四号機の索敵線は、距離こそ300浬までいかなかったものの、発進地点より方位100度をほぼトレースしていた

 索敵線を150海浬平行に南にずらすと、0428に敵艦の位置とぴたりと符合していたのである
 

 つまり、利根四号機はほぼ予定索敵線通りに飛行していたという事になる



 
 

 艦時代の利根の索敵隊は優秀であった。ミッドウェーの時も、敵艦隊を発見したのは利根の索敵隊だけだった


 にもかかわらず、利根四号機の評価が不当に貶められているのには、理由があった





 0130、第一次攻撃隊がミッドウェー島に向けて発進した直後、索敵機が発進した。榛名の水偵、筑摩四号機と一号機、利根四号機と一号機が東南方面に5線、加賀と赤城からはそれぞれ艦攻一機ずつが南西方面に2線に分かれて発進
 ミッドウェー島を挟んで、北寄りから東寄りへ計7線の索敵線が引かれた

 だが、当初予定されていた九七式艦攻十機を加えた二段索敵を行わず、艦攻は温存された。利根は経験上、索敵の薄さを懸念していた。敵艦隊もまた作戦行動で移動している。一段索敵では敵と入れ違いになる可能性もあった




それに・・・・索敵に従事している立場上、気になることもあった


 それは、敵発見率の低下である。ミッドウェー作戦行動前においても敵艦隊の所在を掴めず、現地での索敵行動も難航を極めていた。その一方で友軍が空襲を受けるのも一度や二度ではなかった


 この海域のどこかに敵艦隊がいるのは間違いない。にもかかわらず、全くといっていいほど会敵しない


 ここにきて、利根はひとつの疑念を抱いていた。ひょっとして、敵はこちらの動きを掌握しているのではないか?・・・・つまり、暗号通信が敵に解読されている可能性だった


 利根は考える。もし自分が連合国軍側の立場だったら・・・・・。自分なら、第一機動部隊を狙う。何故か知らないが旗艦大和を擁する連合艦隊との戦線も異様に伸びている。これではもし赤城たちが敵の強襲を受けたら、救援にはとても間に合わない

 本山六三八長官は、本当に第一機動部隊を守る気があるのか?・・・そんな気さえしていた




 その上麻雲中将は敵艦発見を諦め、近隣に敵
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