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絶撃の浜風
外伝 利根編 01 利根四号機
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(2020年4月25日執筆 2021年8月9日 加筆修正)

  (2021年3月12日 冒頭加筆修正)








 利根型航空重巡洋艦ネームシップ・利根は、赤城が最も信頼する艦娘の一人である。ミッドウェーにおける彼女の働きは、あの戦況を覆す可能性を秘めた、値千金の索敵であった。それが生かされず、あのような悲劇を招いてしまったのは、麻雲中将以下司令部が無能だったからに他ならない


 利根もまた、艦時代からの記憶を全て受け継いでいた。ミッドウェーは、利根にとっても、妹の筑摩にとっても後味の悪い、苦い記憶だった



 巷ではよく「利根四号機の索敵ミスが、あの悲劇を生んだ」などと言われているが、事はそんな単純な問題ではなかった

 利根のカタパルトの故障で利根四号機の発進予定が0130より30分遅れた0200となった事が、米空母発見を遅らせる要因の一つという見方もある

 だが、対潜哨戒機の発進が0138に割り込み、実際の利根四号機の予定発進時刻は推定0148に繰り下げられている。故にカタパルト故障による遅延は12分程度であり、これにはあたらない

 それに、12分とは言え発進が遅れたからこそ敵艦と遭遇できたという側面も否定出来ない


 利根四号機が0200に第一機動部隊から発進した時の予定索敵線は、北より100度、進出距離300海浬、測程60海浬であった

 そして0428に利根四号機は敵艦隊を発見。敵機動部隊からの攻撃機もまだ発進していなかった。正に『殊勲甲』ものの敵艦発見であった


 「敵ラシキモノ10隻ミユ、ミッドウェーヨリノ方位10度、距離240浬、針路150度、速力20節以上」


 かの有名な、利根四号機から送られてきた電文である

 
 第一航空戦隊司令部では、小田寛三郎情報参謀が海図上にその位置を書き込んだと言われている

 問題は、利根四号機が報告してきた敵の位置であった

 それは本来利根四号機が飛んでいるはずの予定索敵線より150海浬(278km)も大きく北にそれていた

 筑摩一号機の予定索敵線と程近い位置を示していたのである

 何故このような事が起きたのか・・・


 実は、航海士が天測で導き出して利根四号機に伝えた出発位置そのものに誤りがあり、北に150海浬ずれていた。それを元に搭乗員が羅針儀を頼りに予定索敵線をなぞった結果、あり得ない位置を報告してしまったのである

 当然これは普通に考えてあり得ないのだが、報告を受けた司令部の誰もこの異変に気付かず、「おかしい」と言うものがいなかった。これは極めて不自然である。普通に考えて、海図にそれを記した小田寛三郎情報参謀が気付かないはずがない。司令部には航空参謀の源田実
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