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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
鬱憤-ばいがえし-
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み言を背中で聞き流した。


?

「…ねぇ、大和くん。」
「山本のことか?」


走ることしばらく…。
何も喋らないのは何か気まずい。
そう思って気になったことを聞こうとしたけど、まるで見透かしていたみたいに大和くんは口を開いた。
そう、聞きたいのはあの山本という男の事だ。

「前にも言っただろう。とんでもないパワハラ上司がいたと。」
「そう…なんだけど。」
「まさか生きてるなんてな。そこら辺で野垂れ死んでいるだろうと思ってたよ。」
「…大変ね。」

気付けば、大和くんの白い髪は一部が赤く染っている。
間違いない。先程の銃の殴打で頭も殴られ出血しているんだ。

「…。」
「どうした?」
「あ、いやその…痛くないのかなって。」

気付けば手を伸ばし触れていた。
大和くんの声でそれに気付き、慌てて引っ込める。

「まぁ…痛いな。口の中も切っているし、頭もぐわんぐわんいってやまない。あいつ…俺をまた部下にするとか言ってたが頭をメインに狙ってきて仕留める気満々だったな。」
「ああやって手が出ることはやっぱり…」
「日常茶飯事だよ。」

と、あんな無茶苦茶な上司の元で大和くんは働いていたのかと思うと、胸がこう締め付けられる気がした。
部下にとんでもない命令をし、ほぼ洗脳のような教育を施すような男だ。
どれだけ酷いのか、そしてどれだけ昔と変わっていないのかは過去を知らなくても嫌でも理解出来た。

「大変ね。」
「人のプライベートにもずけずけ入ってくるような男だ。勝手にスマホを拝借され、ソシャゲを全部アンストされた時は殺してやろうかと思ったよ。」

その後どうなったのか、と聞いたが返り討ちにあったらしい。
掴みかかろうとしたら顔面をパンチ、だそうだ。

「こういうゲームをしてるから仕事が出来ないんだと言われたよ。まぁその後お問い合わせしてなんとか全部無事だったが。
そうだ、眼鏡も何度か壊されたな。でもこれは俺の責任じゃなく俺に壊させようとしたお前の責任だなんてトンデモ理論で返されたりした。ああなんかムカついてきたな。逃げる前にもう7、8発殴っておけばよかった。」

と、彼は楽しそうに、そして怒りを覚えつつ過去のことを語る。

「ともかくだ。あいつの場合また来るだろうな。」
「えっ、両腕斬ったのに?」
「”その程度”で諦めるやつだとは思えなくってな。なんならまた来る時は腕を四本に増やしてきてもおかしくない。」
「ってそれはないでしょ大和くん!」

なんて冗談を言いつつ、大和くんはまた無言に戻る。
ここから見えるのは大和くんの背中だけ。今、彼がどんな顔をしているかはわからない。

「お前のおかげで、弱い自分から変われたんだ。それなのにお前を財団に渡して、再びあいつ
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