第11話『襲撃』
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当然か。
表の方からも悲鳴と剣戟の音が聞こえてきた。向こうにも出たらしい。増援は望めそうもない。
「……武器くらい貰っておけばよかったな」
「先輩……」
ほんの数時間前の自分を呪う。せめて武器でもあれば立奈くらいは逃がせただろうが、ないものねだりをしても仕方がない。
「チッ……立奈、走れるな?」
「先輩?」
「やるしかないだろ……」
燕によって叩き込まれた近接格闘の構えを取る。どこまでできるかはわからないが、せめて立奈の逃げる時間くらいは……
「……立奈?」
「ダメです。死んじゃいます」
目に涙を浮かべた立奈に服の裾を掴まれて飛び出すことが出来ない。振りほどくことも出来なくはないが、立奈の必死な様子がそれをためらわせる。
「立奈、離してくれ」
「嫌です。先輩、行っちゃうじゃないですか」
「他に方法が……」
こうしている間にも屍武者は向かってきている。お互いとっくに見つかっている以上、隠れるのも無駄だろう。玲人がなんとか時間を稼ぐ他……
「あります」
「は?」
「こっちへ」
どこか覚悟を決めたような様子の立奈に引っ張られる形で寝室まで連れてこれる。ここならば屍武者がたどり着くのはもう少し後になるだろう。
立奈は一つ、深呼吸をすると、リアクトカメラを胸に抱えて言い放つ。
「私と、契約しましょう」
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