第十一幕その四
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様々な素晴らしい絵画や彫刻があります、その中には。
オズマやドロシーを描いた絵もあります、前ノーム王はその中の一枚を観てこれはというお顔になりました。
「ああ、これはわしが皆と会った時の旅だね」
「そうね」
ビリーナはオズマとドロシーがはじめて出会った時を描いたその絵を前ノーム王と一緒に観て言いました。それはまるで巨大な宗教画です。
「私もいるしね」
「そういえばだったわね」
ポリクロームも言いました、その絵を観ながら。
「ノームの国に行った時にね」
「そう、その時に私はオズの国に来たのよ」
ビリーナはポリクロームに答えました。
「ドロシーがオーストラリアに行く時に乗っている船が大変なことになって」
「それでオズの国に流れ着いたのよね」
「あの娘のオズの国への二度目の到着でね」
「その時貴女も一緒だったわね」
「それでチクタクとも出会って」
「そうしてだったわね」
「この絵にある通りにね」
皆と一緒にいるオズマとドロシーが出会っている絵を観て言うのでした。
「オズマとドロシーが出会ってね」
「貴女はオズの国に来たわね」
「懐かしいわ」
ビリーナは笑ってこうも言いました。
「つい昨日の様でいてね」
「それでいて懐かしいのね」
「そうなのよ」
「そうなのね」
「いや、この時の冒険のことも覚えてるわ」
「あの時はぎゃふんとなったよ」
前ノーム王もその頃のことを思い出して言います。
「あの時のわしは悪人だったよ」
「それで私達と会ってね」
「悪いことをしたね」
「そうだったわね」
「もうあんなことは二度としないよ」
心を入れ替えた今はというのです。
「何があってもね」
「それがいいわね」
ビリーナもその通りだと応えます。
「その方が皆幸せでね」
「わし自身もだね」
「そうだからね」
「うん、しかし他の絵もいいね」
前ノーム王はその絵以外の絵も観て言います、ドロシーが最初にオズの国に来た時の絵やかかしや樵、臆病ライオンと出会った時の絵もあります。
そこに皆がいます、その絵の中に。
ナターシャ達五人もいます、ですが五人は絵の中の自分達を観て思わず笑ってこう言ったのでした。
「私達こんなに奇麗?」
「こんなに恰好いいかな」
「こんなにハンサムかな」
「ここまで美形じゃないよ」
「可愛く描き過ぎよ」
「いや、皆そっくりだよ」
カエルマンが応えました。
「この通りね」
「そうですか?」
「美化してません?」
「こんなに格好よくないですよ」
「とても」
「こんなにじゃないですよ」
「君達はそう思っていてもね」
それでもというのです。
「皆が見たらだよ」
「そうなんですか」
「美形なんですか」
「自分ではそう思っていなくて
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