暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
アイングラッド編
追想編
破壊の蛇、笑う死神
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プだ」


「な、何だと!?」


いきり立つ脳筋は無視し、続ける。


「今回は俺達ソロプレイヤーに任せてくれないか?個人の機動力が高い俺達の方が適任だ。ドロップしたものは俺が責任を持って分配する。……どうだ?」


「論外です。ボスモンスターの経験値ボーナスはギルドがソロに並べる唯一の機会です。バランス面を考えてそれは見過ごせません」


「じゃあ、その御大層な理論を掲げて死人をどさどさ出してろ」


そう言うと、俺は踵を返して洞窟から出ていく。

あれだけ言えばすぐに糾弾が始まる。

実はこういう状況は初めてではない。対立が生じる度にそれをかき回し、うやむやにする。

治まればしめたもの、白ければ結果は上々だ。


「はあ……」


とは言え、いまいち発言力が無いのが怨めしい。

名はそこそこ通ってるが、やはり『Kobの何とか』などという感じではないと、効果はいまいちだ。


(……ここらでいっちょやらかしとくかな?)


目立つのは本望ではないが、ここいらで派手なことをやっておくのが今後のためだ。

俺は準備のために一度、村に戻った。

決行は今夜だ。







________________________________________








深夜、俺は夜型のプレイヤーがちらほらといるフィールドを歩いていた。

向かうのは迷宮区の手前にいるフィールドボスのもと。

俺は今夜、1人でこいつを倒す。


(……ちょっと楽しみかな?)


死ぬかもしれない戦いに行くのは慣れている。強大な敵に1人で立ち向かうのはこの世界に来てから初めてだ。

だから、普段は出てこない獰猛な感情が湧き出てきて気分が高ぶってくる。

最後の岩山を抜け、そこへやって来た。


「シューー……」


来た。こいつが《ジオクロウラー》

巨体に目を合わせると名前が出てくる。


《The Geocrawler》―地を這うもの


なるほど、だから地を泳いだり(crawl)するのか。


無意識に頬がつり上がってにやっとする。


「これだ……」


これが俺が長らく忘れていた戦い、闘争だ。ここならまた戦える……ここが俺の、求めていた居場所だ!!


「行くぞ……」


月夜に栄える紅蓮の大太刀を抜き放ち、下に垂れる。


「シャアアアア!!」


高速で突っ込んでくる巨体。それを俺は宙に跳んでかわす。

相手が体勢を立て直す前に連撃を叩き込む。

長い体を使って俺を潰そうと這い回るジオクロウラーだが、個人の機動力にはまったく敵わない。


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