アイングラッド編
追想編
破壊の蛇、笑う死神
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
プだ」
「な、何だと!?」
いきり立つ脳筋は無視し、続ける。
「今回は俺達ソロプレイヤーに任せてくれないか?個人の機動力が高い俺達の方が適任だ。ドロップしたものは俺が責任を持って分配する。……どうだ?」
「論外です。ボスモンスターの経験値ボーナスはギルドがソロに並べる唯一の機会です。バランス面を考えてそれは見過ごせません」
「じゃあ、その御大層な理論を掲げて死人をどさどさ出してろ」
そう言うと、俺は踵を返して洞窟から出ていく。
あれだけ言えばすぐに糾弾が始まる。
実はこういう状況は初めてではない。対立が生じる度にそれをかき回し、うやむやにする。
治まればしめたもの、白ければ結果は上々だ。
「はあ……」
とは言え、いまいち発言力が無いのが怨めしい。
名はそこそこ通ってるが、やはり『Kobの何とか』などという感じではないと、効果はいまいちだ。
(……ここらでいっちょやらかしとくかな?)
目立つのは本望ではないが、ここいらで派手なことをやっておくのが今後のためだ。
俺は準備のために一度、村に戻った。
決行は今夜だ。
________________________________________
深夜、俺は夜型のプレイヤーがちらほらといるフィールドを歩いていた。
向かうのは迷宮区の手前にいるフィールドボスのもと。
俺は今夜、1人でこいつを倒す。
(……ちょっと楽しみかな?)
死ぬかもしれない戦いに行くのは慣れている。強大な敵に1人で立ち向かうのはこの世界に来てから初めてだ。
だから、普段は出てこない獰猛な感情が湧き出てきて気分が高ぶってくる。
最後の岩山を抜け、そこへやって来た。
「シューー……」
来た。こいつが《ジオクロウラー》
巨体に目を合わせると名前が出てくる。
《The Geocrawler》―地を這うもの
なるほど、だから地を泳いだりするのか。
無意識に頬がつり上がってにやっとする。
「これだ……」
これが俺が長らく忘れていた戦い、闘争だ。ここならまた戦える……ここが俺の、求めていた居場所だ!!
「行くぞ……」
月夜に栄える紅蓮の大太刀を抜き放ち、下に垂れる。
「シャアアアア!!」
高速で突っ込んでくる巨体。それを俺は宙に跳んでかわす。
相手が体勢を立て直す前に連撃を叩き込む。
長い体を使って俺を潰そうと這い回るジオクロウラーだが、個人の機動力にはまったく敵わない。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ