第二章
[8]前話
「そうしてるわ」
「そうなんだ」
「ええ、そうよ」
この時はそうした話をした、だが。
鳥達とも仲がいいサムソン、雄の白いマズルと足が短いトイプードルが鳥小屋に中に入るとだった。
「チチチ」
「ワンワン」
ジンジャーは慎重に飛んでだった。
サムソンの傍に来た、するとサムソンも彼女に顔を向けて尻尾を振った。そうして自分の頭の上に跳び乗るとさらに嬉しそうに尻尾を振った。
その彼等を見てだった、夫は妻に話した。
「ジンジャーもサムソンも嬉しそうだね」
「そうね、ああしてね」
笑顔でだ、妻も応えた。
「仲良く一緒にいられて」
「本当に幸せそうだよ」
「目が見えなくても」
「ハンデがあってもだよ」
「幸せになる権利はあるのよ」
「それならジンジャーだってね」
「幸せになるべきよ」
こう言うのだった。
「本当にね」
「その通りだね」
仲良くしている彼等を見て話した、そしてジンジャーは鳥小屋を出るとだった。
家の中でプラスチック容器の中にいる蝶々のドットをよく見た、するとドヤは彼女に面白そうに尋ねた。
「またドットを見てるのね」
「チチチ」
「ドットが気になるみたいだね」
オットもその彼女を見て言った。
「そうみたいだね」
「そうね、お気に入りみたいよ」
「そうだね」
「確かによく見えないけれど」
「それでも少しでも見られるから」
「だからね」
それでというのだ。
「ちゃんと見ているね」
「そうしてるわね」
「見えにくくても見ようとしているんだ」
夫は暖かい声で話した。
「そうなんだ」
「ええ、そうね」
「その頑張りもね」
「見て受け入れるべきよ」
「全くだね。じゃあね」
「これからもね」
「ジンジャーを他の皆と一緒にね」
まさにそうしてとだ、妻に話した。
「幸せにしていこう」
「私達でね」
夫婦で笑顔で話した、そうしてだった。
彼等はこの話通りにジンジャーを幸せにしていった、他の鳥や犬、蝶に囲まれた彼女は幸せに包まれて過ごしていった。満足に見えるとは言えない目は確かに幸せを見ていた。
見えない鳥が見た幸せ 完
2021・12・30
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