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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
あたしと香子は、ユニットを組む
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アイドル対決まで、残り五日。
あたし達は今日も幻想郷から講師を呼んで、レッスンを受けている。
「足の運びも悪くない。運動神経も良くて物覚えもいい。
舞
(
ダンス
)
にいたっては完璧じゃないか。」
「どうも…。」
秦こころちゃん。
彼女は笑顔の練習にやって来たとは言っていたが、本来はソフィーがダンスの為に呼んだものらしい。
しかし彼女もまた笑顔が苦手とのことで、ちょうどいいと思ったそうだ。
「一番の問題も、すぐに解決しそうだな。」
「?」
「これだ。」
そういって、こころちゃんは口の端に指をつけ、くいっと上げて擬似的な笑顔を作る。
一番の問題とはそう、笑顔のことだ。
「いや…あたしはまだまだ出来てないって。」
「作り笑顔はぎこちないことこの上ない。しかし、練習中のお前はとても自然な笑顔をするじゃないか。」
「え…?」
さっきの歌のレッスンでも、香子に同じことを言われた。
練習中のあたしは、笑顔で楽しそうだったと。
「笑顔…笑った顔と書く。笑うということは楽しいこと。歌って踊っているお前は…つまり喜んでいるし楽しいということ。」
「喜んでいるし…楽しい…。」
こころちゃんがこちらに近付き、両肩に手を置く。
目の前にはまるで読めない無表情な彼女の顔。
頭につけている能面で今の感情が分かるらしいが、あたしにはさっぱりだ。
「楽しむ。それを忘れてはいけない。練習を楽しみ、ステージを楽しむ。舞というのは争い競うものではない。客を楽しませ、自分もまた楽しむものだ。」
「うん…分かったよ。」
そう言うと、彼女は無表情でグッと親指を立てた。
「お前ならやれる。アイドルというものは私にはイマイチ分からないが、やれるさ。歌も舞も完璧。そして楽しくやれば、自然と表情は和らいで笑顔になる。成功を祈ってるぞ。」
そういい、彼女は光の粒子に包まれて還って行った。
「…楽しむ、か。」
最後に言われたことを呟く。
楽しむ。
確かに、何事もそうなのかもしれない。
運動にしろ、それは楽しまなきゃ始まらない。
競うこともそれは高め合うことに繋がる大事なことかもしれないが、まず楽しむことが基本なんだ。
「ありがとうこころちゃん。やってみるよ。」
そう決心し、もう彼女のいない場所を見つめていたら、後ろからバタリと何かの倒れる音が。
振り返ってみれば…
「香子!?」
「もう…無理です。」
倒れたままそう言い、ピクリとも動かなくなった香子が。
「クレイジーバックダンサーズに色々教わってたけど…キツかったみたいだね…。」
ソフィーがしゃがんで彼女の様子を見ながらそう答えた。
香子なのだが、当初はあたしをプロデュースする紫式部Pとして名乗りを上げたのだが
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