第七章
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「その借りを返すよ」
「そうしてくれますか」
「二セーブじゃない、勝ってみせる」
こう言ってマウンドに上がった、マクガフさんはマウンドで仁王立ちになり文字通り一点も渡さなかった。そのマクガフさんを見て皆このシリーズで一番燃え上がった。
「やってやる!」
「マクガフに応えるんだ!」
「勝つぞ!」
「打ってやる!」
皆何としても勝とう、日本一になろうと誓い合った。監督さんはその皆を見て目で頷いた、そんな中で一人だけ静かな人がいた。
川端さんだった、タイトルも獲得しているけれどずっと怪我に悩まされてきている。今は代打の切り札、神様とまで呼ばれている人だ。
川端さんだけが静かだ、僕はその川端さんを見てこの人の出番が来るかも知れないと思った。これまでチームの為に頑張ってくれt人が決めてくれるのではないかと。そして遂にだった。
この試合てタイムリーを打った塩見さんが出塁した、監督さんは満を持したかの様にだった。
川場さんに声をかけた、川端さんはいけるかと言われてはいとだけ答えた、そのうえでバッターボックスに向かいつつ僕に言ってくれた。
「行って来るよ」
「わかりました」
「やって来るから」
静かに微笑んでの言葉だった、その言葉を僕に贈ってくれてそのうえでバッターボックスに向かった。そうして。
塩見さんが得点圏に進んだ、ツーボールツーストライクになって七球目に。
川端さんの目が光った、僕はバッターボックスの川端さんを見てそれがわかった、そして川端さんのバットが一閃して。
ボールをレフト前に弾き返した、もうツーストライクなので塩見さんはスタートを切っていた。塩見さんは全速力で駆けた。
走れ!走って下さい!僕は心から叫んだ、速い筈の塩見さんの足が今回ばかりはまるでスローモーションの様に遅く感じた。世界の動き全体がそうなった様に感じた。
三塁ベースを回り返球が迫る、しかし塩見さんはその白球よりも先にだった。
ホームベースに飛び込んだ、全力で駆け込んでそうしてくれた、今ここでヤクルトを愛する皆の喜びが爆発した。
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