第四章
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第四試合がはじまる前のヤクルトナインの顔の明るいことはまるで太陽の様だった、もう外はかなり寒くなっていて晩秋の冷たい空気と木枯らしが東京の夜を支配していた。けれどヤクルトの皆は違っていた。
まるで真夏の太陽の様に明るい、そして熱いまでに熱気があった。その熱気で寒くて冷たいからっ風すら退けんとしていた。
その熱気をチーム全体で持ってヤクルトは第四試合に赴いた、明るい皆を見て僕はこの日はつば美に夏みたいだねと話すとつば美もそうねと笑って返してくれた。
その明るいオーラと熱いばかりの気で皆は試合に赴いてくれた、先発のベテランとして本当に長い間チームで苦楽を味わいつつもこのチームを引っ張ってくれた石川投手がマウンドに上がって。
いつもの見事な技巧的なピッチングをしてくれて敵を抑えてくれた、二回裏石川投手を助けてサンタナ選手が二試合連続のホームランを放ってだった。六回裏にオズナ選手が得点圏でセンター前に打ってくれて同点に追い付かれてすぐに引き離してくれた。
これがセリーグの覇者なんだ、僕はサンタナ選手とオスナ選手のバッティングを見て思った。ピッチャーの人の好投に打線の人達がちゃんと応えてくれてちょっとやそっとのことではめげない。オスナ選手もそれまでランナーで出た人達もダブルプレーの後でやってくれた。ツーアウトになっても諦めないそれが今シーズンのヤクルトでその野球をしてくれた。
石川投手の後は石山投手と清水投手が抑えてくれて最後はまたマクガフ投手がやってくれた、第三試合に続いて敵を抑えてくれた。
石川投手は見事四十代、不惑を越えてのシリーズ勝利投手となってくれた。あの伝説の若林忠志さんに次ぐ記録と聞いて僕も驚いた。
その記録達成に三連勝での王手、シリーズの勝率はかなり高いものになった。あと一勝、僕はヤクルトを愛する皆と一刻も早くつまり明日に胴上げしたいと思った。
明日は高津監督の誕生日だ、誕生日に日本一の胴上げなんて何て素敵なことだろうか。僕はつば美と話してそうして話が盛り上がった。
第五戦でそうしたい、本当にそう思ってだった。
僕は第五戦が待ち遠しくなった、それでベッドに入っても中々眠れないかもと思ったが実はベッドに入ると気付けば朝だった。
今日決まれば監督のお誕生日の胴上げだ、僕はこのことを朝ご飯を食べる時も歯磨きをする時も恰好よく身支度を整える時も思った。兎に角今日勝って欲しい、監督の為にそう思った。けれど監督は笑って俺のことはいい、日本一になればそれで最高じゃないかと逆に言われた。僕はその監督にそうですか?と菊と監督はそうだよ、とやっぱり笑って返した。その素敵な笑顔に僕は監督がそう言われるのならと頷いた。
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