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代々ローマに
第二章

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「自宅の井戸の中に家族で入り」
「そうしてですか」
「抜け道を使ってです」 
 そのうえでというのだ。
「安全な場所に逃れ」
「難を逃れましたか」
「その他にも。ローマは何度も危機を迎えましたが」
 それでもというのだ。
「ご先祖は」
「その都度ですか」
「その井戸を使って難を逃れています」
「大変でしたね」
「古来よりローマに暮らしていれば」
 それならとだ、カヴァラドゥッシは笑って話した。
「何かとあったので」
「だからですね」
「他にもです」
 カヴァラドゥッシはさらに話した。
「ボルジア家が専横を極め」
「ローマ教皇となり」
「その時の当主はボルジア家に睨まれ」
 そうしてというのだ。
「この時はローマの中で」
「こっそりとですか」
「はい」
 そのうえでというのだ。
「身を潜めたことも」
「ありますか」
「そうでした。今も兄がローマにいますが」
「代々ですね」
「当家はローマに暮らし」
 そしてというのだ。
「ローマと共にありました」
「それはどれ位でしょうか」
「さて、それはです」
 どうかとだ、カヴァラドゥッシは男に微笑んで答えた。
「おそらくローマがこの世に表れた」
「ロムルスとレムスの頃からですか」
「そうかと」
「ですか、まさにですね」
「当家はローマと共にありました」
「ではです」
 男はカヴァラドゥッシの言葉、彼の家がまさにローマが生まれたその時からあるという言葉を受けてこう言った。
「ケルト人が来た」
「そしてローマを荒らした時ですね」
「その時もですか」
「おそらく、そしてです」
 彼はさらに言った。
「難を逃れたのでしょう」
「そうでしたか」
「もっと言えばその後の」
 カヴァラドゥッシからも話した。
「スッラが攻めて来た」
「内乱の一世紀ですね」
「あの時もです」
 まさにというのだ。
「殺された祖先もいたでしょうが」
「マリウスとスッラの争いの中で」
「互いに粛清し合っていたので」
 特にスッラが凄まじかった、彼は軍を率いてローマに入り市民達を殺戮した後粛清すべき政敵の名簿を作成及び公表し的確な粛清にかかったのだ。
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