第一章
[2]次話
真面目アイドル
原田円華はアイドルをしている、茶色の髪の毛をおかっぱにしておりはっきりした大きな目と小さな紅の唇と顎の先が尖ったやや面長の顔をしている。背は一五八程で胸は八十位であり均整の取れたバランスのいいスタイルである。
性格は兎に角真面目でだ。
レッスンは誰よりも真剣にして自分から居残って練習する、食生活も気をつけいつも歌やダンスの勉強をしてだ。
礼儀正しく誰にも誠実に接している、高校の授業も真面目に出てそちらの予習復習も欠かさない。だからだ。
マネージャーの東浜薊は彼女にこう言った。
「円華ちゃんみたいな真面目な娘はね」
「私みたいなですか」
「そうはいないわ」
こう言うのだった、薊は今年三十歳できりっとした顔で黒系統の色のスーツと眼鏡がよく似合う。すらりとしたスタイルで黒髪を頭の上で団子にしている。
「私の知る限りね」
「そうですか」
「真面目過ぎる位よ」
そこまでだというのだ。
「むしろね」
「そんなにですか」
「だからね」
薊はさらに言った。
「気をつけてね」
「真面目だからですか」
「無理をし過ぎるから」
それ故にというのだ。
「かえってね」
「無理をしたら駄目ですか」
「まあそこはね」
薊はきりっとした顔で言った。
「マネージャーの私もフォローするから」
「だからですか」
「任せてね。水分も補給して」
それも欠かさずというのだ。
「それで食べるものもね」
「気をつけてですか」
「やっていきましょう、バランスのいい食事を摂る」
「それがですね」
「一番いいしね、円華ちゃんそこも気をつけてるけれど」
栄養バランスだけでなくカロリー計算もして摂っている、円華の真面目さはそこにも出ているのである。
「けれどね」
「マネージャーさんもですか」
「そうさせてもらうわ」
「そうですか」
「そしてね」
薊は円華にさらに言った、今は仕事の打ち合わせもしつつ彼女を自宅に呼んで鳥鍋を食べている。鍋だと栄養バランスを摂りやすいからだ。
「トップアイドルにね」
「なるんですね」
「今度うちの事務所で期間限定のアイドルグループ結成するけれど」
「そうなんですか」
「それに志願してみる?」
「はい」
円華は真面目な顔で答えた。
「そうしたお話があるなら」
「ソロ活動も大事だけれど」
「グループ活動もですね」
「大事だからね、我が八条芸能は」
薊は自分の事務所の話もした。
「タレントさんは宝」
「絶対に使い捨てにしないですね」
「グループ全体で、ですね」
「そうするから」
だからだというのだ。
「努力する子はね」
「絶対にですね」
「盛り立てるから」
だからだというのだ。
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