第四章
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「特に酷いからな」
「北朝鮮とべったりだったりして」
「教師の不祥事は普通に隠すところあるぞ」
「そんなところにいた奴か」
「そりゃかなり酷い奴だな」
「庶民派を言うけれどな」
「政策はないし」
それにというのだ。
「スキャンダル追及ばかりで品性もない」
「こりゃ最低の奴だな」
「庶民派だの主婦だの母親だの言ってるが」
「こいつはもう一回当選させたら駄目だな」
「野党の他の議員もそうだが」
「こいつは落選させろ」
「落選しなかったらこいつの選挙区の有権者駄目だぞ」
こうした意見がネットで噴出してきてだった。
咳餓鬼の人気は急落した、そして。
ここでだ、政治資金にスキャンダルも出て来た。
「えっ、不倫!?」
「あいつ不倫してたのかよ」
「しかも相手あいつか」
その相手のことも注目された。
「あの患之守かよ」
「学歴詐称に暴力に性犯罪って色々言われてる奴だぞ」
「これまたとんでもないのと不倫したな」
「旦那と子供いてそれか」
「何が主婦だ」
「何が母親なんだよ」
「不倫とかないだろ」
主婦だの母親だの言ってというのだ。
「政治資金の問題も出て来たしな」
「こいつやっぱり最低だな」
「庶民派じゃないだろ」
「他人のスキャンダル言って自分はこれか」
「自分に甘く他人に厳しい奴なんだな」
「不倫するだけでも駄目なのに相手はそれか」
「女性の権利言う奴が性犯罪の疑惑ある奴と不倫するな」
批判はさらに高まった、その中で選挙を迎え。
咳餓鬼は選挙活動に入ったが。
「帰れ!」
「誰かお前の話なんか聞くか!」
「政治資金のこと説明しろ!」
「不倫なんかするな!」
「他の人のこと言うよりまず自分だろ!」
街頭演説の場で選挙民達が怒鳴った。
「政策言え!」
「庶民派とか言う前に政策だ!」
「人のこと言う前に自分だろ!」
「自分のこと何とかしろ!」
「お前はそれ以前の問題だ!」
「何が庶民派だ!」
こう言って選挙演説なぞ聞こうとしなかった、そして。
人気は暴落してだった、組合が幾ら支えても。
それ以外の票は入らず落選した、すると。
そこから政治資金のことで罪に問われ不倫のことで離婚調停となり夫だった者は娘の親権を取り慰謝料もそうして。
全てを失った、後の彼女はただの抜け殻になり実家で引き籠る毎日になった。
庶民派政治家咳餓鬼奈々子はこれで終わった、引き籠りからは何とか復帰して組合のツテである学校で教師になってだった。
静かに暮らした、だが一連のことですっかり老けて気迫もなくなった彼女に振り向く者は誰もいなかった。抜け殻としてそこにいるだけであった。
庶民派 完
2021・7・14
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