第一章
[2]次話
庶民派
咳餓鬼奈々子は野党第一党である主民憲立党の若手議員である、黒髪を短くしてセットしておりやや吊り目で紅の唇を持っている。
地元の教育大学を出て教師をしていたがそこで組合に入ってだった。
みるみるうちにその中で頭角を現してある時組合の委員長に言われた。
「政治家になりませんか？」
「政治家ですか」
「今度の衆院選挙にです」
「衆院ですか」
「実は今この県の選挙区に一つ空きが出まして」
それでというのだ。
「前の人の地盤を引き継いで」
「そうしてですか」
「はい、そして」
そのうえでというのだ。
「当選されたなら」
「国会議員としてですか」
「活躍出来ますが」
「私が政治家ですか」
咳餓鬼は目を輝かせて委員長に応えた。
「そんなことは」
「夢にもですね」
「思っていませんでした」
こう言うのだった。
「これまで、家は」
「ご両親も先生でしたね」
「はい、学校の。今も現役です」
「お二人共この組合で頑張って頂いていますし」
「私もですか」
「そうですので組合は全力で、です」
委員長の言葉は強かった。
「支えさせて頂きます」
「選挙活動を」
「主民憲立党の公認で」
それでというのだ。
「出馬して頂いて」
「公認ですか」
「あの政党の」
「あの、いきなりで」
「いえいえ、先生ならです」
是非にというのだ。
「出て頂きたいです、庶民派として」
「庶民派ですか」
「はい、それこそがです」
まさにというのだ。
「先生の看板になります」
「そうなのですか」
「家庭もお持ちですね」
咳餓鬼が結婚して子供もいることを話した。
「主婦としてお母さんとして」
「頑張っている、ですが」
「このこともです」
まさにというのだ。
「重要なのです」
「そうですか」
「ですから」
「出馬したならば」
「庶民派で」
「二世議員でも官僚出身でもない」
「普通の人で」
委員長はさらに話した。
「主婦としてもお母さんとしても頑張っている」
「その姿をですね」
「宣伝して」
そしてというのだ。
「そのうえで、です」
「選挙を戦って」
「当選されても」
それからもというのだ。
「そうしたです」
「庶民派であることをですね」
「掲げられて」
そのうえでというのだ。
「活動されて下さい」
「それでは」
「はい、そうしていきましょう」
委員長が言ってだった。
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