第二章
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「山中殿、助太刀しますぞ!」
「相手はあやかし、一騎打ちでは勝てませぬ」
「だからです!」
「ここは我等も!」
こう言ってだった、それぞれ手にしている槍や刀、弓矢や鉄砲でだった。
木を攻めた、枝を切るだけでなく幹にもだった。
攻撃を仕掛けた、すると。
木から鮮血が噴き出した、それは切られた枝からもだった。鹿之助も十勇士達も木から噴き出る血に染まりつつも。
木に攻撃を仕掛け続けた、そして鹿之助が木の幹に深々と槍を突き刺し。
腰の刀を抜いて気合一閃左から右に切ると。
見事な切れ味だった、それで幹を両断した、すると切られたところから鮮血が滝を逆さにした様に噴き出し。
木の動きは止まった、鹿之助も十勇士達も鮮血に染まったまま死闘が終わったことを感じていたが。
一行は倒したあやかしの木の周りを調べた、すると。
木の根のところから無数の躯が出て来た、躯は首筋や胸に穴が空いていて骨と皮ばかりになっていた。誰もがそれを見て察した。
「この者達がいなくなった者達だな」
「間違いありませぬな」
「服もそうですし」
「ここを通って木に殺されましたか」
「それも首筋や胸の穴は」
「枝が突き刺さって血を吸われた」
「その様ですな」
皆このことを察した。
「何と恐ろしいことか」
「人を襲いその血を吸って殺す木がおるとは」
「その様な木がおるとは」
「何と恐ろしいことか」
皆こう言い合った、そして殺された者達を弔い木は跡形もなく焼かれた、その後で。
鹿之助は出雲のある高僧から話を聞き唸った。
「あの木は樹木子といいますか」
「はい」
僧は鹿之助に彼の屋敷に答えた。
「そのあやかしです」
「そうなのか」
「多くの血が流れた戦の場でその死んだ者達の血を吸って育ったので」
それでというのだ。
「そして血に餓えており」
「あの様にか」
「はい、人の血を吸ってです」
そうしてというのだ。
「殺します」
「恐ろしいな」
「はい、ですが」
僧は鹿之助に話した。
「この度はです」
「我等が退治したからか」
「難は終わりました」
そうなったというのだ。
「山中様の素晴らしき行いです」
「当然のことをしたまで」
鹿之助は僧の言葉に笑って返した。
「侍は主の為そして民の為にな」
「戦うものですか」
「樹木子が民を害するなら退治する」
「それが当然のことですか」
「左様、何も素晴らしいことはない」
「当然のことですか」
「あくまでな、だからな」
それでといのだ。
「誇るに及ばぬ」
「そうですか、ですがそう言われるお心こそが」
僧は彼に笑顔で返した。
「素晴らしいのです」
「そうなのか」
「まこと山中様は天下の英傑であられます」
僧は鹿之
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