第三章
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彼はゆっくりと目を閉じた、そうして八十四年の彼自身から見て非常に満ち足りた人生を終えた。だが。
ダヴェルニエが世を去って何十年も経ちルイ十四世が崩御しやがてフランスで革命が起こってからだった。
噂が出て来た、その噂は。
「あのダイヤは呪われたダイヤだ」
「ダヴェルニエがインドで盗んだものだ」
「ルイ十四世はあのダイヤの呪いで死んだ」
「フランス王家が滅んだのもあのダイヤのせいだ」
「ダイヤの持ち主は皆怪死している」
「ダヴェルニエもロシアで野良犬に噛まれて死んだ」
「大金を使い果たして落ちぶれたらしい」
こんな話が出だした、そして。
ダヴェルニエはすっかり泥棒扱いとなりかつ王から支払われた大金を使い果たし落ちぶれたうえでロシアで無残に死んだことになった、しかし。
二十世紀も後半になってダヴェルニエの子孫今は宝石商ではないが真面目に働いているある女性が語った。
「ご先祖のことですが」
「ホープダイヤの話ですね」
「はい、あのダイヤのことで」
その女性コンスタンス=デリュー金髪で面長の顔に奇麗な青い目が輝いている長身の女性が知り合いに話した。
「真実があります」
「あのダイヤは有名ですね」
「そうですね、あまりにも」
「もうです」
それこそというのだ。
「ブルボン家を滅ぼし持ち主は全て悲惨な末路を迎えた」
「呪われたダイヤですね」
「そう言われていますが」
それでもというのだ。
「別にダイヤを買った人も研磨した人も」
「悲惨な末路は迎えていないですね」
「ルイ十四世は七十九歳まで生きています」
先祖からダイヤを買った彼もというのだ。
「そして贅沢な暮らしの中で生きていたので」
「まあ幸せだったと言えますね」
「色々とあった人ですが」
それでもというのだ。
「別に悲惨な結末ではないですね」
「当時で七十九歳は大往生ですね」
「七十五年の在位でしたし」
今も国家元首の在位期間としては人類史上最長である。
「それに他の持ち主の人達も」
「真実はですね」
「殺されたり事故死したり怪死したりという話は」
世に言われていることはというのだ。
「ありません、そして私の祖先も」
「宝石商のダヴィリエ氏ですね」
「子孫代々に彼のことは伝わっています」
その真実はというのだ。
「ダイヤはインドで盗んだのではなく」
「そこから違うのですね」
「寺院からと言われていますが」
その真実はというのだ。
「ちゃんと買ってです」
「手に入れましたか」
「そして大金を使い果たして落ちぶれて」
王からの報酬をというのだ。
「違いましてそのお金で悠々自適に暮らし商売にもです」
「ルイ十四世からの報酬を回して」
「そして八十四歳になるまで暮らし」
そうし
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