第四章
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「貴也君と共にだ」
「幸せになっていきます」
楓風は笑顔で応えた、そうしてだった。
貴也と共に幸せに過ごした、貴也はその彼女に対して毎日共に寝る時に尋ねた。
「あの、君は夜は」
「はい、結婚するまでは」
妻は夫に答えた、ダブルベッドの中に共にいながら。
「どなたともお付き合いしたことなく危険な場所にも決して行かなかったので」
「だからなんだ」
「手をつないだことも」
誰ともというのだ。
「ありませんでした」
「そうだったんだ、ただ」
「ただとは」
「知識はあったんだ」
「お母様から二十歳の時に書を頂いて」
それでというのだ。
「学ばせてもらいました」
「それで知っているんだ」
「貴也様と結ばれるまで経験がなかったので」
それも全く、であった。
「拙いですが」
「拙くないよ」
貴也は楓風に驚いた顔になって答えた。
「とても」
「そうでしょうか」
「手や舌は存分に使うし」
「技は大事だと書にあったので」
「しかもね」
それにというのだ。
「四十八全部出来るし」
「それも書で」
「あったからなんだ」
「そして抱かれていますと」
貴也にというのだ。
「とても嬉しくて」
「それでなんだ」
「夜が待ち遠しい位です」
「好きなんだね」
「私の新たな歓びの一つになりました」
そこまでのものになったというのだ。
「ですから」
「それでなんだ」
「はい」
まさにというのだ。
「今夜も。そして」
「明日もだね」
「お情けを下さい。いつも自由で」
それでというのだ。
「私は幸せですし夜もそうして頂いているので」
「尚更だね」
「幸せです、ですからお願いします」
「奥さんが幸せならいいよ」
それならとだ、貴也は楓風に笑顔で応えた。
「じゃあこれからも」
「はい、一緒にですね」
「暮らしていこう」
こう言って楓風を笑顔で抱き締めた、彼女の暮らしは相変わらず生真面目過ぎるまでに生真面目であった。
だが彼女はそれは言われてではなく自分から進んでしていることなので自由だと感じていた。そして自由の中で夫とそして彼との間に生まれた子供達と幸せに暮らしていったのだった。
厳しい家から 完
2021・8・19
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