第一部 1977年
霈
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ウクライナに展開するドイツ人民軍、第一戦車軍団と戦術機実験集団に呼び出しがかかった
当該部隊の指揮官、参謀は、急遽、ベルリンへ向かった
彼らは、首都に着くなり、官衙に招かれ、驚愕の事実を知らされた
東独の首脳部の口から伝えられたのは『中共政権による《単独》での《ハイヴ》攻略』
「独力で中共がハイヴ攻略をした」
その話は、わずか数日の間に国際報道に乗り、全世界を駆け巡った
前衛を務める東欧諸国の青年将校達に、衝撃が走った
帰京して数日たったある夜、ベルリン郊外の然る屋敷
とある党中央委員の私宅に、二人の男が呼ばれていた
屋敷の主人は、青年時代から党大会に参加し、新進気鋭の議会委員として、有名な男であった
「よく来てくれたな、二人とも」
人民軍地上軍の軍服姿の男たちが部屋に入る
壮年の男が敬礼をすると、脇にいる男も少し遅れて敬礼をした
機甲科(戦車部隊)を示す桃色の台座の上に、将官を示す金糸と銀糸が織り込んだ肩章。
金属製の星形章の数から少将
胸には略綬と職務章を付け、年のころは40代半ば
若干日焼けしており、最前線で戦っていることが一目で判る
生地は、艶やかな灰色で、質の良いウールサージ、体に合った仕立ての良い軍服を着ている
恐らくテーラーでのカスタムメイドであろうことが、うかがい知れる
青年は、水色の台座の航空軍(空軍)肩章で、銀糸の刺?模様から尉官
肩章に輝く菱形の金属製星形章の数から中尉
陸軍と同じ灰色のサージで出来た将校用の軍服を着ている
隣の男と比して、生地の質が幾分が落ちることから、判るのは既製品であろう事
美丈夫と呼んでも差し支えない男で、年のころは20代前半
輝くような金髪に、碧眼、青白く美しい肌の青年であった
「此方こそ御招き頂いて有難う御座います。自分は……」
屋敷の主人は、遮るように言う
「知っているよ。噂の《婿殿》だろう。奴が居たら面白かったな」
青年は反論した
「待ってください。
自分は、まだ独身で、彼女とは結婚はしていません。
たしかに友人以上の関係ではありますが、誤解なさらないで下さい」
興奮した様子の青年を、主人は宥める
「まあ、待て。その話は追ってするから、これを見ろ」
主人は、青年と脇にいる壮年の男に一枚のB3判の封筒を渡す
「これは……」
複数の写真と独文の報告書と、英字新聞の複写が挟んであった
(なんで「南華早報」、何故、西側の新聞が……)
隣を振り向くと、50がらみの男が熱心に資料を読んでいる
「実はな、支那でのハイヴ攻略。未確認だが、西側の新兵器が使われたらしい」
左手で、椅子に腰かける様に促された彼等は、着席した
屋敷の主人はその様子を見届けると座り、奥に向かって茶を催促する様、呼びかける
まもなく暖かい湯の入った薬
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