限られた命
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煉獄の問いに、トレギアは答えた。
「人類の文明程度なら、一体で壊すことさえ可能な、最強の闇。君にあげるよ」
トレギアの言葉とともに、異形の化け物、ガタノゾーアが吠えた。
「俺に? その化け物を?」
「ああ。コイツがいれば、聖杯戦争を勝ち抜くなど容易い。永遠の命とともに、人類を、世界を手にできる……」
「永遠の命か……」
永遠の命。
それは、古今東西、様々な人々が求めて止まない魅惑の響き。
まだウィザードの前に現れていないだけで、きっとその願いをもって聖杯戦争に臨んでいる参加者もいるのだろう。
トレギアは続ける。
「そうすれば、永遠に強くなり続ける。それどころか、この力でこの世界を手に入れることだってできる。百年でも二百年でも……それこそ、神の力と言ってもいい」
「興味ないな」
だが、トレギアの提案を煉獄はバッサリと切り捨てた。
「老いることも死ぬことも、人間という儚い生き物の美しさだ」
「……へえ?」
「老いるからこそ……死ぬからこそ。堪らなく愛おしく、尊いのだ」
ウィザードは一瞬、煉獄から目を背ける。
「君は、永遠の命を捨てるのかい?」
トレギアの言葉と時を同じくして、ガタノゾーアも吠える。
だが煉獄は、眉一つ動かすことなく断言した。
「もう一度言う」
冷たく吐き捨てる煉獄は、日輪刀を横に構え。
「限りある命を、必死に生きることもまた、人の美しさだ。人の強さだ」
「強さ……ねえ」
その言葉に、トレギアは薄気味悪い笑みを浮かべた。
「なら……その、儚く散るであろう人の美しさを、永遠のものにしてあげよう。私がね」
そして、ガタノゾーアが動く。
ガタノゾーアの武器は、その太く長く多い触手。
鞭のようにしなるそれを飛び越え、煉獄はトレギアへ接近していく。
「炎の呼吸 壱ノ型 不知火!」
無数の触手が壁となり、ガタノゾーアへの道を阻む。
だが、可奈美の迅位斬に匹敵する即断技である不知火は、一気にガタノゾーアへ肉薄。その硬い体を切り裂いた。
ガタノゾーアの甲殻より、火花が散る。
だが、ガタノゾーア本体にはさほどのダメージになっていないのであろう。衰えない動きで、触手が煉獄を払いのける。
「むっ!」
煉獄は着地と同時に後ずさる。
だが、そんな煉獄へガタノゾーアが手を緩める理由はない。
「煉獄さん!」
迎撃の反応が遅れた煉獄の前に、ウィザードが立つ。
「松菜青年!」
ウィザードはそう言って、ソードガンと蹴りで触手を弾き飛ばす。
「合わせよう!」
「うむ!」
煉獄の剣、その動きには炎が残光として残る。
それをウィザーソードガンが余すことな
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