第四百十一話
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第四百十一話 眠れない時は
美樹が早いうちにぐっすりと眠りに入った時天本博士は研究所の中で刺身やカルパッチョで白ワインを飲みつつ言った。
「昨日はあまり眠れなかったのう」
「ああ、そうか」
「そうなんだ」
ライゾウとタロは博士にそう言われても平気な顔だった。
「それ、だよね」
「博士が別に寝れなくてもな」
「別に一睡もしてない訳じゃないよね」
「そうだよな」
「四時間位しか寝れんかった」
そうだったというのだ。
「だから今日は早いうちに寝る、しかしな」
「しかしって何だよ」
「何かあったの?」
「こうした時は人を殺すとよく寝れる」
博士は刺身と一緒に出ている蟹サラダを食べつつ言った。
「何人かな」
「人殺したらかよ」
「何でそうなるのかな」
「博士は殺人も趣味だからかよ」
「それでなんだ」
「ちょっと外に出てどうにもならんゴロツキを見付けてな」
そうしてというのだ。
「殺してくる」
「平気で言うな、おい」
「人を殺すってとんでもないことだよ」
「それでも平気かよ」
「流石は博士だね」
「ちょっと外に出てな」
そうしてというのだ。
「コンビニの辺りでたむろってるガラの悪いのをな」
「殺してくるのかよ」
「今から」
「うむ、では食い終わったら行く」
人を殺しにとだ、博士は白ワインを飲みつつ言った。
「そして飲み終わったらな」
「じゃあ行ってきな」
「そうしてきたらいいよ」
「博士だからな」
「殺人とか大量破壊兵器の製造と開発は趣味だしね」
「わしは法律なんぞ無視する」
このことは一貫していた。
「だからどうにもならん奴を殺してくる」
「それで今はか」
「飲んで食べるんだ」
「こうしてな、いや美味い」
今度は鯨のベーコンを食べながら言った。
「海の幸にはこれじゃ」
「白ワインか」
「それなんだね」
「それか日本酒じゃ」
笑いながら飲んで食べている、そうしつつ何人殺そうかと考えている博士であった。
第四百十一話 完
2021・10・14
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