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絶撃の浜風
外伝 赤城編 01 ミッドウェーと回想
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 だが、陸軍参謀本部、内閣の承認を得ず、また、海軍においても源田や淵田、山口といった多くの将官が反対したにもかかわらず、本山六三八連合艦隊司令長官は独断で十三年越しの夢であった真珠湾攻撃を慣行。日本は、本来行う予定であった対英国・対蘭国戦である南方作戦構想が大きく崩れたまま、大東亜戦争に突入した。踏んではならない虎の尾を、思い切り踏み抜いたのである。その結果ヒトラーは対外的には日本を賞賛したが、本山の愚行に激怒し、チャーチルは「これで英国は救われた」と皮肉を込めた感謝の意を示し、ルーズベルトは「まさか本当にやってくれるとは思わなかった」と、予定していた結果があまりにも簡単に転がり込んできた事に驚いたという


 本山のこの軽率な行動は、アメリカ国民を激怒させ、日本との本格的な戦争に突入したばかりでなく、ルーズベルトにヨーロッパ戦線へも参戦する口実を与えてしまった。ドイツとイタリアの敗北は、実はこの本山の行動によって引き起こされたのである




 チェスター・ニミッツをはじめ、東郷平八郎を尊敬するアメリカ軍人は多い。だが、本山六三八を尊敬するというアメリカ軍人は皆無であるという事実が、彼の愚行が如何程のものであったかを物語っていると言えよう





そして運命のサイは振られた・・・・いや、本山六三八のイカサマサイコロにより、日本国民や世界を巻き込む大博打が打たれた


 真珠湾では戦艦アリゾナ、オクラホマ、ウエストヴァージニア、カリフォルニアをはじめとする多くの艦艇を沈め、多大な戦果を挙げた第一機動部隊であったが、機械工場や修理施設といった工廠や、450万バレルに及ぶ重油タンクを見逃し、攻撃を加えなかった。そしてハルゼー中将座上のエンタープライズは、真珠湾攻撃の報を受け、単艦で決戦を挑もうとしていた。同時にレキシントン以下第12任務部隊は、偵察機を出し、日本艦隊を捜索していた。つまり、そのまま戦闘を続けていたら、遭遇戦になる可能性が十分にあった。その時の航空戦力比はおよそ350対131・・・・後にアメリカ太平洋艦隊司令官チェスター・ニミッツは、この時点ででエンタープライズとレキシントンが第一機動部隊と戦闘状態に入ったら、間違いなくやられていたと語っている


 だが、麻雲中将は第三次攻撃隊の出撃を取りやめた。真珠湾にはまだ手付かずの工廠や重油タンクがあったにもかかわらず、である。これを叩いておけば、米軍は真珠湾から作戦行動を取る事が数か月間は不可能となるはずだった。結果的に、エンタープライズとレキシントンは麻雲機動部隊が引き上げた事で命拾いをした。しかも、レキシントンに至ってはその日の夜に真珠湾に帰港し、燃料の補給まで行っていた。麻雲が腹を括っていたら、その後の歴史が全く変わっていたのは明白であった



 
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