第八話 悪い男の見分け方その六
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「要するにね」
「若し屑に惚れたら大変ってことね」
「酒乱で酔って暴力振るって唾まで吐いて実家に逃げたらクラブ持って襲撃に来る奴と何十年も暮らせる?」
「無理に決まってるでしょ」
富美子は飲みつつ答えた。
「そんなの」
「そうでしょ、だったらね」
「悪い男にはなのね」
「もうね」
それこそというのだ。
「惚れないことよ、いい男に惚れることよ」
「ダメンズ好きにはならないってことね」
「酔っても何でも奥さんや子供に暴力振るう奴は屑よ」
美奈代は言い切った。
「まさにね」
「それでなの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「人はよく見てね、彼氏もね」
「そういうことね」
「あんたは友達には恵まれてるけれどね」
「一華達?」
「あの娘達はいい娘よ」
妹につまみを出して話した、それは夏季ピーナッツだった。
「四人共ね」
「友達はいいのね」
「あの娘達みたいな娘をね」
「友達に持つべきね」
「そう、友達は何人いてもいいけれどね」
「一人だけでいいとかはないのね」
「そんなの誰が決めたのよ、ただ友達ってね」
姉はその柿ピーを食べつつ話した。
「お互い生きてるうちにはわからないってこの前言われたわ」
「お互いに?」
「自分でそう思っても相手は思ってないとかあるでしょ」
「あっ、確かに」
そう言われると、とだ。富美子は頷いた。そうしながら柿ピーを食べて噛み砕いてからビールを飲んだ。
そうしてだ、あらためて言った。
「それはね」
「だから一方が死んでね」
「死んでなの」
「残った方が残念とか悲しいって思えばね」
「友達なの」
「何でもない人が死んでも悲しくないでしょ」
姉はここではドライに言った。
「嫌いだとざまみろと思うかもね」
「まあ嫌いだとね」
「けれど友達だとどうか」
「やっぱり死んで残念とか悲しいとかね」
「あんたも思うわね」
「ええ、確かに」
「それで死んだ方もね」
それが誰であってもというのだ。
「それを見てね」
「残った人が残念だとか悲しいとか見るのを見て」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「わかるのよ」
「そうなの」
「残ってる人が友達だって」
「そんなものなの」
「魂になってね」
死んで実体がなくなってというのだ。
「残った方も残念だって思うならね」
「友達だから思うのね」
「そう言われたわ、そして私もね」
美奈代自身もというのだ。
「そのお話聞いてそうかもねって思ったわ」
「お互い生きてる時はわからないの」
「友達はね」
「そういうものなの」
「そのお話聞いて思ったわ、しかしね」
「しかし?」
「そう思う時は先であって欲しいわ」
美奈代は今度は遠い目で述べた。
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