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父犬は待っている
第二章

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「つがいの犬ですが」
「今もだね」
「はい、病院の前にいます」
「奥さんをずっと待ってあそこから見守ってるね」
「そうですね」
「ずっとね」
 まさにというのだ。
「そうしているね」
「そうですね、病院の中に入らないのは」
「僕達を気遣って邪魔にならない様にだね」
「気を使ってますね」
「いい子だよ」 
 ロドリゲスは唸って述べた。
「犬は頭がよくて性格もいい子が多いけれど」
「彼は特にですね」
「そうした子だね、子犬達の里親を探すべきだけれど」
「はい、ここはですね」
「二匹共野良だしね」 
 親達もというのだ。見れば二匹共首輪がない。
「彼等の里親もね」
「探しますか」
「ネットでも知らせよう」 
 こう言って実際にだった。
 犬の一家の家族を募集した、母犬は友達という意味でアミカと名付けられ父犬はディエゴと名付けられた。
 子犬達は娘達はジョアンナ、マチルダ、息子達はカルロス、プラシド、ホセ、シモンと名付けられた。そのうえで出産までのことと今現在のことを書いた文章を添えて病院でもインターネットでも家族を募集すると。
 地元のサッカーチームのフロントの人が病院に来てロドリゲスに話した。
「素敵な話だと思ったから是非ね」
「家族に迎えてくれますか」
「一家全員ね」
「一家全員ですか」
「去勢と不妊をして」
 それぞれ手術を行ってというのだ。
「そうさせてもらいたいよ」
「そうですか、八匹共ですか」
「奥さんの出産を病院の前で待っているお話に特に感じ入ったよ」
 父犬のそのことについてというのだ。
「だからね」
「それで、ですか」
「そうさせてもらうよ」
「一家を離れ離れにしないですね」
「うん、では今からね」
「幸せにしてあげて下さい」 
 ロドリゲスはこう言ってだった。
 彼に犬達を引き渡した、そして後日彼の家に行くと犬達は一家で幸せそうに過ごしていた。六匹の子犬達は広い家の庭の中を走り回り親犬達は彼等を見守っていた。そして今も夫婦で寄り添い合っていてそれを見たロドリゲスは自然と笑顔になった。


父犬は待っている   完


                  2021・12・26
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