第一章
[2]次話
父犬は待っている
ブラジルのカリアカ市の動物病院の前にだった。
一匹の痩せた垂れ耳の犬がじっとしていた、その犬の横に茶色と白の垂れ耳の大きな犬がいた。その彼等を見てだった。
看護士の一人が病院の獣医達の中でたまたま近くにいたジョアン=ロドリゲス濃い眉を持つアフリカ系の背の高い彼に話した。
「病院の前に二匹の犬がいますけれど」
「あっ、確かに」
ロドリゲスはその病院の前を見て確かめた。
「そうだね」
「つがいですね」
「うん、雌と思われる方はお腹が大きいね」
「妊娠してますね」
「それも出産間近だね」
「出産を助けて欲しいんでしょうか」
「おそらくね、それなら」
ロドリゲスは獣医、生きものの命を預かる者として決断を下した。
「すぐにうちで保護しよう」
「そうしてですね」
「この病院の中で出産させよう」
「そうしますか」
「出産は安全で清潔な場所でするのが一番だね」
「その通りです」
看護士はその通りだと答えた。
「本当に」
「そしてその安全で清潔な場所は」
「病院ですね」
「しかもスタッフが揃っているから」
このこともあってというのだ。
「だからね」
「はい、ここでですね」
「産んでもらおう」
ロドリゲルは獣医そして人間として決断を下した、そうしてだった。
自分から犬達のところに行って声をかけた、するとお腹の大きい犬は。
「クゥン」
「よし、お前も来るかい?」
つがいと思われる雄犬にも声をかけた。
「奥さんの出産を見守るかい?」
「クウン」
だが雄犬はその場に留まった、そのうえで雌犬を見てだった。
行く様にという顔になった、そうしてその場に蹲った。ロドリゲスはその彼の行動を見て看護士に話した。
「彼はここで見守るつもりだね」
「そうですか」
「それならだよ」
「その気持ちを汲み取って」
「ここで待ってもらおう」
「そうしますか」
「うん、そうしよう」
こう話してだった。
雌犬だけを病院の中に入れた、すると彼女はすぐにだった。
六匹の子犬を産んだ、二匹は黒で四匹は茶色でどの犬も耳が垂れていた。
「クゥ〜〜〜ン」
「クンクン」
「クゥン」
「クゥ〜〜ン」
「クンクンクン」
「クゥゥン」
「黒の子は二匹共雌ですね」
看護士は母犬から乳を与えられて飲んでいる子犬達を見つつロドリゲスに話した。
「そして茶色の子は四匹共です」
「雄だね」
「そうですね」
「皆無事に産まれてよかったよ」
「しかも元気ですし」
「それは何よりだよ」
「全くですね、それとですが」
看護士は病院の前の方を見て話した。
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