第十幕その二
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「むしろ人間しかいないと」
「その方がですね」
「違和感があります」
むしろというのです。
「どうも」
「そうですか」
「まあね、外の世界のことは知らないが」
それでもとです、前ノーム王が言ってきました。
「オズの国はそうした世界だよ」
「そういうことですね」
「うん、じゃあね」
「これからですね」
「その住人とも会おう」
こうしたことを言ってでした。
一行はトロットに案内され先に先にと進んでいきます、そしてそれまで木がなかった場所だったのに一本の木が見えてきて。
その木の上からです、お口を大きく開けて笑っている黒と黄色の縞模様のとても大きな猫が枝の上に寝転がった状態で言ってきました。
「あんた達何処に行くんだい?」
「貴方まさか」
ナターシャはその猫を見て言いました。
「チェシャ猫?」
「わかるね」
「ええ、その外見を見たら」
まさにというのです。
「間違いないとね」
「わかったんだね」
「そうなの」
「そうさ、おいらはチェシャ猫だよ」
自分から名乗りました。
「宜しくな」
「こちらこそね」
「いや、まさかね」
ナターシャは驚きを隠せない顔でこうも言いました。
「貴方までオズの国にいるなんだ」
「何かあるかい?」
「だって貴方は不思議の国にいるでしょ」
「ああ、アリスって娘のだね」
「そこにいたから」
「あら、ここも不思議の国よ」
ナターシャにポリクロームが言って来ました。
「アリスって娘もいるね」
「ここにあの娘がいるの」
「私はそのことは知らないわ」
ポリクロームはナターシャに答えました。
「彼女のことはね」
「そうなの」
「けれど彼はいるわ」
チェシャ猫はというのです。
「普通にね」
「そうなのね」
「そして他の子達もね」
「いるのね」
「おそらく貴女が考えている人達が」
まさにというのです。
「いるわ」
「そうなのね」
「彼もいてね」
チェシェ猫もというのだ。
「他のね」
「私が思う様な人が」
「ああ、そういえば」
「オズの国はドードー鳥もいるし」
「そしてチェシャ猫がいるなら」
「それなら」
ナターシャ達五人も言いました。
「それじゃあね」
「チェシェ猫以外のアリスさんが出会った人達もね」
「皆いて」
「そして何時か出会える」
「そうなのね」
「まあおいらと会って嬉しそうなのはわかるよ」
チェシャ猫は笑って言いました。
「それでおいらも嬉しいよ」
「貴方もなの」
「そうだよ」
こうナターシャに答えました。
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