02 マッドでサイコな女
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「・・・大淀さんは、やさしいです」
「・・えっ?・・・・・・えっ??・・・えと、何がでしょうか???」
突然振られた浜風の言葉の意味がわからず、大淀は思わず間抜けな返答をしてしまった
だが、それこそが浜風が大淀に抱いた印象であった
大淀は、普段はあまり感情をおもてに表さない
鎮守府内でも、事務的に仕事をこなすクールな艦娘で知られていた。大淀本人も、自分はそういう人間だと認識していた
そのせいか、自分の本質・・・在り方に無自覚だった
だが・・・
今回、浜風を迎えるに当たって、秘書官という立場上、色々と事情を知ってしまっていた
そのためか、浜風に対して本人も気付かないうちに感情移入してしまい、今の大淀は隙だらけだった
その結果、図らずも大淀という人となりが、まるでガラス箱のように透けて見えていた
そう・・・・大淀という人は、本質的には、やさしい人であった
「・・・濱乃・・・・・浜風は・・・大淀さんのこと・・・好きです・・・」
「・・えっ?・・あ、はい、ありがとうございます。」
突然目の前の幼い子供から向けられた好意に大淀は戸惑いつつも、何だか暖かい気持ちになっていた
大本営で特務機関付となり、紆余曲折を経て某鎮守府秘書官となってからというもの、大淀は日々の業務に忙殺されていた
上司だった前川と主計課勤めをしていた頃は、まだ穏やかな日々を過ごしていたような気がする・・・・
それだけに、素直に嬉しかった・・・・こういう気持ちになるのは、何だか久しぶりな気がする
だが、
「・・・浜風ね・・・・人に・・・やさしくされたの・・・・はじめて・・・・」
その言葉に、大淀は凍り付く
「・・・・はじめて・・・・・・・・え?」
それは・・・かわいい盛りの、まだ七歳になったばかりの子供が言う台詞ではなかった
あどけないその少女は、素直な気持ちを大淀に返しているだけだった
そこにはいささかの誇張や強がりなどなく、ただ事実のみを語る少女がいた
それは・・・裏を返せば、この二年間、人間らしい人と関わり合いを持ってこなかった言っているも同然だった
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