敢闘編
第四十六話 想定外の思いつき
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親父が寄ってきた。
「私の部屋で話そうか」
9月1日11:00 自由惑星同盟軍、統合作戦本部ビル、宇宙艦隊司令長官公室
ヤン・ウェンリー
私やキャゼルヌ先輩の知らない所で作戦が変更されていたなんて…。
多分、クブルスリー少将やタフト准将も知らなかったんだろう、顔が強張っていた…。まあ、我々副官や総参謀長すら作戦の変更を知らなければ司令部から作戦が漏れる事もないか。
でも大スクリーンを見た時には正直驚いた。全ての正規艦隊、十二個艦隊を動員、第一陣の四個艦隊がイゼルローン攻略軍、第二陣の八個艦隊が帝国本土侵攻軍…第一陣がつまづけば全艦隊を以てイゼルローンを攻略…。こんなとんでもない作戦の変更を思いつくのは…シトレ校長じゃないな。
「ウインチェスター、作戦の変更を進言したのは君かい?」
「はい」
「作戦の目的は何だい?」
「決まっているじゃないですか、帝国に勝つ為ですよ」
「しかし、君は以前に同盟が帝国に勝つのは無理と言っていなかったかい?」
「はい、今でもそう思っています」
「それなのに、この作戦を?」
「はい。ふと思いつきました。それに私が帝国に勝てないと思っているのは、今まで同様の戦争を継続していたらの場合です。戦争のやり方を変えて行けばやり様はあるのではないかと思っています。勝てるかどうかは分かりませんが」
「…分からないのにこんな博打の様な作戦を?」
「戦争が博打じゃなかった事がありますか?中佐の好きな歴史の中に例は沢山ありますよ。私も歴史は大好きですから、幾つか紹介しましょうか?」
「いや、そういう意味じゃないんだ、何というか…」
私がおかしいのだろうか。ウインチェスターは彼なりに考えた作戦案を校長、じゃなかった司令長官代理に提示した。そして、それは多分正しい。大兵力を一気に投入し、敵に対処する暇を与えず撃破する。
しかし、なぜ今なのだろう?戦機、という事であれば、司令長官代理がそれを見逃すはずはない。長官代理が、私やキャゼルヌ先輩だけではない、同盟軍が見落としている何かを彼は知っている、気付いているのだろうか?長官代理は静かにコーヒーを飲んでいる…。
「ヤン、ちょっといいか。俺もウインチェスターに聞きたい事がある」
私の表情を見て何か感じたのだろう、キャゼルヌ先輩がウインチェスターに向き直った。
「何でしょうか、キャゼルヌ大佐」
「全艦隊を動かすのに幾らかかると思っている?作戦期間は?帝国本土進攻?まさかオーディンまで進むつもりじゃないだろうな。同盟が破産するぞ」
「でしょうね。でも戦争遂行は国是、民意なのでは?暴虐なる銀河帝国の圧政を打破するんですよね?破産など気にはして居られません」
「それは建前…」
「建前と市民に言うのですか?市民は戦争遂行の為に重税に耐え
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