敢闘編
第四十六話 想定外の思いつき
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か?」
「方面軍編成演習、という名目です。それに第一陣の部隊がイゼルローン攻略に失敗した場合、帝国が余勢を駆って同盟内部に侵攻する恐れがあります。演習という名目で予算をつけておいて貰えば、実際に帝国来寇となった場合に名目を変更するだけで済みます。まあ、名目はどうとでもなりますから…」
本当かよ?と思われる様な内容でも、名目が立てばいくらでも組織は動かせる。大義名分、というやつだ。都合がいい事に過去何度もイゼルローン攻略は失敗しているから、その備え、という屁理屈は通りやすい。同盟市民にさえ、イゼルローン要塞を本当に落とせるの?と思われている節があるから、大きな反発はないと思われる…失敗したら悲惨だが…。
「第一陣によるイゼルローン要塞攻略が成功したならば、第二陣は帝国侵攻。もし第一陣による要塞攻略が難しいと思われるならば、作戦目的は全艦隊による要塞攻略に切り替えます。公式発表も要塞攻略ですし、最低限の作戦目的は果たせます。その場合はイゼルローン要塞で再編成後、帝国侵攻作戦を行うかの判断を行います」
「ふむ…了解した」
ロボスの顔が分かりやすく紅潮している。単純だなあ。アニメで見たロボスは愚鈍で単純な男、というイメージだった。だがこの頃、まあ今現在の事だが、単純ではあっても愚鈍ではないようだ。シトレ親父との差がつき始めてから視野狭窄だったり被害妄想が激しくなったのだろう。
「ただし、ひとつ問題があります」
「何だね、それは」
「機密保持です。現段階では作戦の全容を知っているのは政府でも最高評議会議長と国防委員長しかいらっしゃいません」
同盟軍の正規艦隊全てが動く作戦というのは前例がない。建国、軍創設以来の壮挙、とかほざいて作戦をペラペラ吹聴する輩が出てきてもおかしくない。
公式発表とそれに付随する情報通りに帝国軍が動けば機密保持は完璧だが、漏れていたら…。
「皆さん、作戦会議の出席者以外に会議の内容を話したりしましたか?いらっしゃったら名乗り出て下さい、ああ、懲罰とか軍法会議にかける訳ではありません、もしそういう事があった場合、善後策を考えねばなりませんので」
…さすがに誰もいないようだ。一旦会議室内が静かになる。
「…では、ここで作戦会議を中断します。再開は午後、一三三〇からとします」
司会のヤンさんの発言で、思い思いに皆が出ていく。大会議室に残ったのはシトレ親父、キャゼルヌ大佐、ヤンさん、俺。キャゼルヌ大佐とヤンさんが早速詰め寄ってきた。
「ウインチェスター、あの作戦は本当なのか?」
「大佐はご存知とばかり思っていました…ヤン中佐も存じてらっしゃらない?」
「ああ、大佐も私も初耳だよ」
「その割にはお二人とも平然とした顔をしてらっしゃいましたが…」
「俺たちが驚く訳にはいかんだろうが」
俺たちのやり取りを聞いて、シトレ
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