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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第四十六話 想定外の思いつき
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総参謀長のクブルスリーも能力はあるが、この時期ではまだ階級が足りないし重味にかける。元々彼は昇進して艦隊司令官になる筈だったけど、昇進枠から外れた。その代わりとして宇宙艦隊司令部の総参謀長に抜擢された。総参謀長という配置は通常中将または大将が充てられる。シトレ親父が抜擢したんだから能力に不足はない筈だが、階級が釣り合っていない為本人も恐縮しきりな所がある。残留組にもその辺りをつけこまれがちだ。アクが少ないとでも言えばいいのか、皆おとなしくて押しに弱い。シトレ親父に表立って反感を示す者はいないが、その反面参謀達と出征する艦隊司令官に対する圧力は相当な物だった。

 「いえ、今お配りしている資料をご覧下さい」
艦隊司令官達に資料が配られていく。それと同時に大スクリーンに資料と同じ内容が写しだされる。
「これは…本当なのか、これは」
手元の資料を見つめる者、大スクリーンを見つめる者、それぞれが絶句したり隣同士でヒソヒソやりあっている。
「はい、本当です。作戦の修正が政府に認められました。今作戦はイゼルローン要塞攻略に留まるものではなくなりました」
「では尚の事我々が残留している場合ではないだろう?」
「その通りです。ロボス閣下には帝国本土攻略部隊の指揮官になっていただきます」



 過去二回の会議でウンザリしたからシトレ親父に言ってやったんだよ、いっその事帝国本土に侵攻したらどうですか?ってさ。
シトレ親父は驚いていたけど、考えれば考えるほど同盟軍がまがりなりにも健全な状態を保っている時期って、今しかないのだ。物語的には面白くても、ヤンさんが活躍する頃はもう同盟は死に体なのだ。やるなら今しかない。トリューニヒトもまだ国防委員長じゃないから、ヤツに口出しされる心配もない。帝国側もラインハルトたちはまだ目立たない存在だ。トリューニヒトはともかく、ラインハルトの件はシトレ親父に説明してもピンと来ないだろうから、トリューニヒトの危険性をさりげなく吹き込んでやった。どうやらトリューニヒトに対してはシトレ親父も多少の危惧があるようだった。
「なるほど、軍内部の反発を抑え込める上に私の立場は揺らぐ事はなくなるな。成功すれば、だが」
「はい。作戦目的を帝国侵攻、その過程でイゼルローンを攻略する、という事にすれば、帝国侵攻は成らなかったとしてもイゼルローンは落とせるでしょう。ほぼ全ての艦隊を投入するのですから」



「…公式にはあくまでイゼルローン攻略作戦です。ロボス閣下には第二陣として国内に残留す兵力を率いてもらいます。第一陣としてシトレ司令長官代理の直卒する四個艦隊でイゼルローン要塞攻略戦を行います。首尾よく攻略したならば、作戦は帝国本土侵攻へ移行します」
「しかし公式にはイゼルローン攻略なのだろう?国内残留の艦隊を動かす名目はあるの
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