第115話『遅延』
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
れ、教えてなかったっけか? 実はこの"夜"という属性は『夜間に強化される』という効果を持つんだ」
「へぇ……ということは、部長は夜の間の方が強くなるんですか?」
「そういうこと。いつもより2倍は強くなるぜ」
「お〜!」
ここに来て終夜の能力の知らない一面を知り、少しワクワクしてきた。
思い起こせば、ずっと夜だった裏世界での彼の魔術は一味違ったような気もする。それ以外はあまり見る機会がなかったから確信はない。
「それで、その効果が今回のことと関係があるってことっすか?」
「あぁ。俺も星野先輩も夜間の方が強い。そのことを知ってるはずの運営が、試合の時間をわざわざ夜にしたってことに因果関係がないはずがない」
「実力を十分に発揮できる舞台を整えたってこと? 運営もやってくれるじゃない」
「全くだ。これじゃ無様な戦闘は観客に見せられないな」
伸太郎の問いと緋翼の言葉に終夜はそう結論づける。つまるところ、運営側の"粋な計らい"というやつだ。
「さて、ちょっと外で身体動かしてくるわ」
「わかりました」
試合時間が近づいているため、そろそろ会場に戻らないといけない。それに合わせて終夜は準備運動をと、先に部屋を出ていった。
「"夜"かぁ」
終夜に続いて伸太郎も緋翼も部屋を出た後、晴登は1人残って考え事をしていた。
終夜の能力の副属性である"夜"の効果は至ってシンプル。それに比べて、"晴風"の副属性であるはずの"晴"の効果が全くわからない。今まではなあなあにしてきたが、もしかすると"未来予知"は"晴"に由来するのではなかろうか。
でもそうなると、明らかに副属性の範疇を超えている気がする。これではもはや主属性だ。一体、どうなっているのだろうか。
「そのうち、わかるかなぁ」
疑問は尽きないが、考えてわかることじゃない。誰か詳しい人に教えてもらえたら楽なのだが、知っている人は身近にはいなそうだ。頭の片隅に入れておくくらいで、今は片付けておこう。
*
場所は変わって魔導祭会場。日は沈み始め、あと数分で日没といったところか。
フィールドではジョーカーが腕を大きく広げて挨拶をしていた。
『皆様、突然の時間変更、誠に申し訳ございませんでした。しかし、彼らの戦闘は必ずや皆様の期待に応えてくれることでしょう! それでは準決勝第2試合3本目、選手の入場です!』
ジョーカーの声に合わせてフィールドの両側から終夜と月が上がってくる。それに呼応するように、観客の歓声が大きくなった。
『【日城中魔術部】黒木選手対【花鳥風月】星野選手! お互いの
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ