第115話『遅延』
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けどって……」
医者が余程優秀なのか、はたまた結月の自然治癒力が高いのか。どちらにせよ、回復したならば良かった。
飛びつくほど元気が有り余ってるのは考えものだけど。
「それよりテレビで観てたよ! やっぱりハルトは強いよ! 凄い! 好き!」
「ちょ、ちょっと落ち着いて!?」
感情の昂るまま力いっぱい抱きしめてくる結月。晴登の勝利する姿を見て、大興奮冷めやらぬ状態だ。
でもまだ病み上がりなのだから、はしゃぐのはやめて欲しい。
「それで、何で試合が中断したの? 時間を遅くする意味って?」
「あ〜それは……」
結月は首を傾げ、頭上に疑問符を浮かべていた。それは晴登の目下の疑問でもあり、答えはこれから得るつもりである。
「俺にもわかんなくて……。後で部長に訊いてくるよ」
「じゃあボクも一緒に──」
「結月はダメ。まだ休んでないと」
「そんなぁ……」
何度も言うが、結月はまだ万全の体調ではない。万が一に備えて、今日一日は安静にしてもらおう。
……すると、露骨に寂しそうな表情をするので、恥ずかしいけど頭を撫でてみる。
「ま、また後で来るから」
「えへ、えへへへへ」
「な、何だよ」
「なんでもなーい」
隠そうともしないにやけ顔に、こちらまで照れてしまう。何だこの可愛い生き物は。無性に抱きしめたくなる。
しかし、そこは心を鬼にして結月をベッドに寝かせると、晴登は部屋を後にするのだった。
*
時刻は18時。今度は晴登の部屋にて、簡易的なミーティングが行なわれることになった。内容は先程結月が気にした通り、なぜ試合が遅延したのかが主だ。
「部長、いい加減教えてくださいよ。遅くなった理由わかってるんですよね?」
「まぁな。推測の域は出ないけど」
晴登が終夜を問い詰めると、彼はようやく口を開いた。会場では先送りにされたが、これでようやく理由が聞ける。
終夜はどこから話したものかと、少し悩んでから話し始めた。
「まず、俺と星野先輩の能力は知ってるよな?」
「えっと……部長が"夜雷"で、星野先輩が"星夜"でしたっけ?」
「あぁ。ここで注目して欲しいのが、どちらにも"夜"という属性が含まれていること」
属性、というのは能力が持つ性質のことだ。主属性と副属性の2種類があり、それらは能力名の2文字で表されると、入部したての頃に教わっている。
ここでの問題は、終夜と月が同じ属性の能力を持っているということだ。しかし、どんな効果かは未だに知らない。彼の雷が黒い理由ではあるはずだが……。
「あ
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