第115話『遅延』
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よ影丸。まだどっちのチームが勝つか決まってないだろ?」
「けど、あの黒い雷使うガキはそれなりに戦えるぞ。女相手にゃ負けねぇだろ」
1回戦にて相手を一撃で倒した終夜の活躍を知っている影丸は、次の試合は彼に分があると考えている。
しかし、アーサーはそうではないといった様子だ。影丸の発言を聞いてふっと笑うと、
「わからないよ。──彼女、"組み手"で1桁の順位だから」
*
「……あ」
次の試合への期待を胸に自陣に戻ろうとした晴登の目に、グッと親指を立てて満面の笑みを浮かべている終夜の姿が映る。
そんな無邪気な笑顔に釣られて、晴登も笑顔で終夜の元に駆け寄った。
「部長!」
「よくやった。本当によくやったよお前」
晴登が何かを言うよりも先に、感極まる終夜が背中をバンバンと叩いてくる。その加減のなさが、彼の喜びを何よりも如実に表していた。
「いや〜最初に吹っ飛ばされた瞬間はヒヤヒヤしたぜ」
「それは俺もですよ……」
「それでもお前は勝った。それで十分だ」
これ以上ないくらいの喜びようの終夜を見て、晴登も嬉しくなってくる。自分が誰かの役に立てたというのは、とても達成感があった。
「──後は俺に任せろ」
終夜の目の色が変わる。後輩の勝利を喜ぶ先輩の顔から、チームの命運を担う部長の顔へと変わっていた。
相手は強い。舞や風香を見て、そう思わない訳がない。その上、次は相手のリーダーが出てくる。今までで最も過酷な戦闘になるだろう。
それなのに、今の終夜を見てると不思議と負ける気がしなかった。
「っしゃあ、行ってくるか──」
『え〜っと、ここで緊急の連絡です! 次に予定されております、【日城中魔術部】対【花鳥風月】の3本目の試合の開始時間を、19時に変更するとのことです!』
「「……え?」」
予想外の連絡に、2人の呆気にとられる声が重なった。
*
詳しい説明もないまま、魔導祭は一度お開きとなった。19時に再び会場に集合するまで、晴登たちはホテル待機を命じられる。
しかしホテルに戻ってきた晴登は、自室に帰るよりも先にある部屋の扉をノックしていた。
「はーい」
「結月、体調はどう──」
「ハルトー!!」
「おわっ!?」
中から返事を聞いてドアを開けた瞬間、勢いよく結月に飛びつかれた。いきなりの出来事で受け止めきれず、晴登はそのまま後ろへ尻餅をついてしまう。
「いてて……って、身体は大丈夫なの?! 安静にしてなきゃダメなんじゃ……!」
「何かよくわかんないけど平気だよ!」
「よくわかんない
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