五十五 面影
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内外を問わず、破壊は困難を極める【木遁・四柱牢の術】が一瞬で破られるなど信じられない。
驚きのあまり集中力を欠き、【雷切】を発動しないまま終わってしまったカカシは、直後、ガクッと膝をついた。
写輪眼の使い過ぎでチャクラが今ので無くなってしまったのだ。
思えば飛段や角都と連戦続きだった。チャクラが枯渇するのも無理はない。
それでもカカシはなんとか敵を捕縛しようと、霞む視界を凝らして手を伸ばす。
敵が目の前にいるのにみすみす逃がすわけにはいかない。
「逃がすか…っ」
疲労とチャクラ不足で動けぬ我が身を叱咤し、カカシは再不斬と白フードの逃亡を食い止めようとする。
両手の指に巻きつかせ、微かな指の動きで相手を切り裂ける刀の一種である鋼糸。
だが鋭過ぎて自らの指を切り落とし兼ねない諸刃の剣でもあるソレで牢獄を瞬く間に切り刻んだ本人は、カカシの写輪眼を暫しじっと見つめる。
そうして、白フード───ナルトはいっそ優しげに微笑んだ。
「逃げるさ」
それは決定事項だった。
「先輩…」
荒野に吹き荒れる風。
寸前とは違って風の音しか聞こえぬ光景は、今までの出来事が夢のように思える。
しかしながら散らばっている木片やチョーカーの爆発による大穴、そして角都の遺体から溢れる血の泉が今まで敵がこの場にいた証拠だった。
ヤマトの木遁から逃れ、カカシの写輪眼からも逃れ、消えていった白フードと再不斬。
逃亡を許してしまったと悔いるよりも、ヤマトはカカシを案じた。
いつになく平常心を失っているらしい彼を気遣う。
「……ナルを攫われなかったのは怪我の功名でしたね。それだけで十分だと思うことにしましょう」
自分自身を納得させるようなヤマトの言葉に、カカシは上の空で相槌を打つ。
大木の幹に背を預け、眠っているらしきナルの無事を横目で確認して、カカシは深く息をついた。
(馬鹿げているな…)
ほんの一瞬、白フードを見た時に感じた錯覚。
顔こそ見えなかったものの、雰囲気が何故かカカシにとって懐かしいモノのように思えて、すぐさまその気の迷いだと、振り払うように頭を振る。
ありえない思い違いだ、と己自身を納得させて、カカシは敵が先ほどまで佇んでいた場所をぼんやり見遣る。
角都の分裂体のひとつである火遁のお面と、そして角都自身の心臓を持ち去った白フードの姿が妙に脳裏に色濃く残っていた。
(四代目に…ミナト先生に見間違えたなん
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