五十五 面影
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シと再不斬の【水遁・水龍弾の術】の水龍の餌食となったお面だ。
カカシとヤマトの視界からすぐに逃れ、悠然とお面を拾っている白フードの隣に、再不斬は並び立った。
視線は寄越さず、声を掛ける。
「趣味の悪い面なんざ、どうするつもりだ」
「形見くらい持ち帰っても構わないだろう」
飄々とのたまう白フードに、カカシは思わず口を挟んだ。
「どの口が…、」
今し方、角都を殺した本人の口から告げられた単語に我慢できずに声を荒げる。
現に、白フードの片手には、角都の心臓が赤黒い血を滴らせているのだ。
心臓を抜き取った張本人が言うに事欠いて、形見などとよくも言えたものだ。
カカシの激昂を耳にして、白フードはゆったりとした所作で、僅かに顔を上げた。
「君の代わりに後始末をしただけだよ──カカシ」
「………ッ、」
顔の全貌こそ見えないものの、フードの陰から覗き見えた双眸に射抜かれ、ほんの一瞬、カカシの身体が強張る。
名を呼ばれた瞬間、カカシ自身も己の心臓を鷲掴みにされた錯覚を覚えた。
「先輩!?」
呆けた顔で固まったカカシを見て、ヤマトが声を張り上げる。
その声でハッ、と正気に戻ったカカシに、ヤマトは怪訝な顔で囁いた。
「…どうしたんですか、先輩」
「………いや、なんでもない」
たっぷりの間を置いた後、カカシは頭を振った。
僅かにでも錯覚した自分を否定する。
確かにナルの術の直撃を受けた角都のトドメは己が刺すはずだった。
その後始末を代わりに行ったと答えた相手の姿が誰かと被って見える。
もう一度、強めに頭を振って、カカシは改めて敵を見据えた。
一瞬でも目の前の敵が懐かしい存在に見えた自分自身を恥じる。
「んじゃ、そろそろオサラバしよーぜ。もう契約分は働いただろ」
首切り包丁を肩に担ぎ、欠伸を噛み殺す再不斬に、カカシとヤマトは「「待て…っ」」と制止の声をあげた。
「なんだよ。首輪までして引き受けてやっただろーが。現に今、殺してやったろ」
「あそこまでしろとは言っていない…!」
「面倒くせぇな、お前ら木ノ葉は…」
五代目火影から再不斬が直々に依頼された事柄は、霧隠れの里へ引き渡さない事を条件に、シカマル達の加勢及び『暁』の角都と飛段の撃退。
更には敵前逃亡を危惧し、時限式爆弾という名の首輪まで施されたのだ。
首切り包丁を返却してもらうという対価にしては、聊か此方の負担のほうが大きいんじゃねぇか、と再不斬は肩を竦めた。
「生け捕りとは言われてねぇ。契約違反にはならんさ」
「厄介な枷も背負わされたしな」
再不斬からチョーカーを外した白フードが他人事のように呟く。
揶揄された事を思い出して、一瞬
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