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渦巻く滄海 紅き空 【下】
五十五 面影
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された意図を察するも、ナルトは無言で言葉の先を促した。


「…あの写輪眼のカカシにトドメを刺されるくらいなら、いっそ…」
「─────そうか」


角都が暗に告げた言葉の裏を読み、ナルトは軽く承諾の意を返した。
死に体の角都の前に、静かに片膝をつく。


顔こそ見えないものの、その所作は穏やかで、まるで聖人のようなやわらかな物腰だった。





だが、次の瞬間。

「「…な、」」


再不斬との戦闘中にもかかわらず、カカシとヤマトは目を奪われた。







角都の身体から血が迸る。
何の前触れもなく、白フードが角都の体内へ手を突っ込んだのだ。


か弱そうな細く白い手が男の胸部分をいとも容易く貫通している。
そのままズルリ、と抜け出された臓器が太陽の下、ドクドクと血潮を振り撒いた。
だが、白フードには血の一滴すら滴下しなかった。


「し、心臓を抜き取った…!?」
「仲間じゃないのか…!?」


あまりの惨劇に、ヤマトが顔を引き攣らせ、カカシが険しい表情を浮かべる。
角都の心臓の陰で素早く印を結ぶ様子には気づいていない。

それほど衝撃的な光景だった。


(仲間をも躊躇なく殺すか…なんてヤツだ)


迸る血が角都の遺体を真っ赤に染める。伏せる角都の身体から血が湧き水のように溢れ、やがて大穴一面を覆い尽くした。

心臓を抜き取られた男の眼はもはや生気がない。当たり前だ。
心臓を抜かれて、どうして生きていられよう。


寸前まで死に体とは言え、生きていた角都の死に、カカシは眉を顰める。

もっともナルの術の直撃を受けた角都にトドメを刺す役は己がするつもりだった。
どちらにしても角都に待ち受けているものは死だったが、それでも目の前で殺されるのを目の当たりにすると寝覚めが悪い。


益々、得体の知れない存在に警戒心を抱いたカカシとヤマトの前で、角都の心臓を鷲掴みにした白フードがゆっくりと腰を上げた。
心臓片手に、ゆらり立ち上がるその姿がまるで死神のようで、ヤマトの背筋がぶるり、と震えあがる。
カカシもまた、不可解な恐怖心が沸き上がるも、グッと堪えて、敵の出方を待った。


角都の遺体を一瞥したかと思えば、白フードが大穴から飛び上がる。
跳躍してきたところを狙おうと身構えるカカシとヤマトだが、またもや視界から相手の姿を見失った。


愕然とする二人をよそに、再不斬が地面を蹴る。
周囲に視線を奔らせ、白フードの姿を探したカカシの眼がようやっと相手の居場所を認識した。


彼は何事もなかったかのように、壊れていないお面を拾い上げている。

角都の分裂体である能面。その内の一つである火遁の面。
序盤で、カカ
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