五十五 面影
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その日、火ノ国木ノ葉隠れの里付近で、爆発が二度、起きた。
ひとつは木々が点々と疎らに並ぶ荒野にて。
ひとつは奈良一族以外の立ち入りを禁じられている森の中で。
だが、双方の爆発付近にいた者は皆、爆発は一度きりだと思い込んでいる。
己のすぐ傍で起きた爆発のほうに気を取られ、もうひとつの爆発に気づきもしない。
ふたつの爆発がほぼ同時刻に起きた事実を知っているのは、爆発を起こした張本人。
タイミングを合わせ、もうひとつの爆発に注意が向かないように仕向けた犯人は、素知らぬ顔でそれぞれの陣営と対峙していた。
片や、角都と闘っていたカカシとヤマト。
片や、飛段と闘っていたシカマル、そして加勢しに合流したばかりのいのとチョウジ。
場所は違えど、彼らが対峙しているのは、フードを目深に被った得体の知れぬ存在。
『暁』らしき装束こそ着ていないものの、敵の肩を持つところから木ノ葉の忍びとは相容れぬ相手だという事だけが、遠く離れた場所にいる彼らの共通の認識だった。
無造作に投げられたチョーカーが生み出した爆発。
轟々と天を衝く白煙。
荒廃し切った大地に穿たれた大穴の傍ら、眩しいほどの純白が妙に映える。
穿たれた大穴の深さから、その規模の大きさが窺えた。
白きフードを目深に被る謎の存在を前に、カカシとヤマトは冷静な表情を努めつつも、内心動揺を隠せなかった。
(綱手様が施した封印術だぞ…!それをこうもあっさり、)
桃地再不斬が『暁』と戦わず、逃げる可能性をも考え、火の国から遠く離れても自動的に作動する時限装置。
五代目火影自らが施した封印術が念入りに組み込まれているチョーカーを易々と外した相手を油断なく見据える。
相手の出方を窺うといった膠着状態。
双方の間に流れる短い沈黙は、謎の存在の身動ぎで破られた。
何を仕掛けるつもりなのか。
そう警戒し、身構えたカカシとヤマトは、直後目の前のいたはずの相手の姿が何の前触れもなく掻き消えたことに眼を見開いた。急ぎ視線を奔らせる。
敵の居所を探ろうと必死なカカシとヤマトに反し、件の相手はまるで最初から其処にいたかのような風情で、角都が倒れ伏す穴の中に降り立っていた。
(いつの間に…!)
写輪眼こそ用いていないものの、上忍が油断なく警戒していた相手である。
瞬きひとつせず出方を窺っていたにもかかわらず、一瞬でも見失わせた存在に冷や汗が止まらない。
ハッ、と我に返ったカカシとヤマトは、すぐさま角都が倒れ伏す大穴へ向かおうと地を蹴った。
白フードが何をするかわからないが、ナルのおかげでようやく角都を倒すことに成功したのに、彼らを接近させ
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