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絶撃の浜風
01 プロローグ 濱乃の憂鬱
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隻が投入された



 だが、蓋を開けてみれば、既に艦隊決戦の時代は終焉を告げていた



航空戦こそが戦場の花形として君臨し、この地球上の数多の戦場を支配した

戦艦による艦隊決戦もなく、大艦巨砲主義は幻想と消えた


そして・・・


 甲型駆逐艦の主戦場であるお家芸の水雷戦も、伝統の夜戦も・・・レーダー照準射撃の実用化の前に無力化された



 彼女たちが戦場で直面した現実・・・・それは、度重なる空襲から僚艦を守るための防空戦と、海底から忍び寄る潜水艦との戦いであった




 元々想定外である防空戦や対潜水艦戦闘を余儀なくされ、不慣れな戦闘に苦しい戦いを余儀なくされた


そして・・・


 生粋の防空戦特化型である「秋月型」の登場により、甲型駆逐艦は、完全に時代に取り残された







終戦まで生き残った甲型駆逐艦は、「雪風」ただ一隻のみという、悲惨な有様であった









浜風とは、そんな甲型駆逐艦にあって、最も苛烈な運命を辿った駆逐艦の一つであった


 相方の「磯風」と共に、開戦を告げる真珠湾から、大日本帝国海軍の事実上の壊滅を告げたレイテ、そして坊ノ岬沖海戦まで、大戦の殆どの主要な戦場を戦い抜き、そして沈んでいった・・・・





そして時は過ぎ、浜風が大和と共に坊ノ岬の海に沈んでから70年後・・・・・



人類は、存亡の危機を迎えていた



 突如として現れた謎の軍艦とも生命体ともつかない存在・・・・「深海棲艦」が、全地球規模で出現・・・・


 瞬く間に制海権を奪われた人類は、海から追われ、丘へと追い込まれ、生活圏を陸上のみに縮小せざるを得なくなっていた




そして四方を海に囲まれた我が国、日本は・・・世界から完全に孤立した





 エネルギー資源に乏しい我が国は、70年前の開戦前夜の時のように、危急存亡の時を迎えていた






 そんな我が国を救ったのは、「艦娘」であった



 艦娘は、旧大日本帝国海軍時代の軍艦が、現代において人型に実体化した「戦姫」(いくさひめ)であった


 その力は凄まじく、深海棲艦と対等以上の力を有し、これを駆逐


瞬く間に人類存亡の危機を救った、いわば救世主的存在である






 そして時代は皇紀2745年。大東亜戦争終結から140年、深海棲艦と艦娘が出現してから実に70年が経過していた


 未だ深海棲艦との雌雄は決しておらず、戦いは膠着状態に陥っていた








これは、甲型駆逐艦、陽炎型の13番艦に当たる艦娘、「浜風」の物語である
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