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八条学園騒動記
第六百四十三話 カルトとは何かその八

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「しかしな」
「俺は多分お前以上に嫌いだ」
「そうだな」
「エウロパの全てが嫌いでだ」
 そうしてというのだ。
「その中でもな」
「貴族連中がか」
「特にだ」
 まさにというのだ。
「嫌いだ」
「そこまでか」
「連中を前にしたら多分我を忘れる」 
 あまりにも嫌いだからだというのだ。
「そこまでだ」
「嫌いか」
「そうだ、しかし」
「それでもか」
「連合軍は違うな」
「あの人達はエウロパに入り」
 戦争の時にそうしてというのだ。
「悪いことは殆どなかった」
「事件は少なかったな」
「非常にな」
「それは凄いことだな」
「俺もそう思う、貴族を前にしてしかも武器を持っていれば」
 それならというのだ。
「それが爺さんでも子供でもな」
「殺していたか」
「そうしているかも知れない」
「そこまで嫌いということだな」
「そうだ、しかし連合軍の人達は違うか」
「理性を保ってだ」
 そのうえでというのだ。
「略奪暴行はしなかった」
「それは凄いな」
「だからだ」 
 それでというのだ。
「あの人達みたいになりたい」
「理性を保ちたいか」
「そうしたい」
 絶対にというのだ。
「俺はな」
「どれだけ嫌いな相手を前にしてもか」
「理性を保ってな」
 そうしてというのだ。
「あいつ等と同じことはしない」
「そうでありたいか」
「連合軍の人達もエウロパの連中が嫌いな筈だ」
「連合の人間だとな」
 フランツはそれならと答えた。
「そのことはな」
「当然だな」
「誰もが嫌っている相手だ」
 連合の者はというのだ。
「エウロパの連中そしてな」
「貴族はな」
「それならだな」
「連中に勝ってその前にいたら」
「攻撃するな」
「俺もな」
 それこそとだ、フランツは述べた。
「そうする可能性がな」
「あるな」
「それをどう堪えるか」 
 憎む相手に勝って彼等がその前にいて何もしないでいられるかというのだ。
「それは人間として必要なことでも」
「それをどう出来るか」
「それはな」
「難しい問題だな」
「ああ、そう思う」
 こうフランツに答えた。
「それが大人か」
「大人なら堪えられるか」
「人間の大人ならな」
 それならというのだ。
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