第七話 テストの結果はその十三
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「私も読んでいてね」
「この主人公やばいって思ったの」
「本気で覚醒剤打ってるか」
「電波受信してるか」
「そうしたね」
その風にというのだ。
「思ったわ」
「そうなのね」
「漫画雑誌の編集者って設定だったけれど」
「実在人物なの」
「みたいだけれど」
「実在なの」
「それでもそんなこと言ったら」
どうかとだ、富美子はさらに話した。
「実在だとね」
「精神病院よね」
「行ってるわね、周りも人類滅亡だって喚くから」
「世が世なら騒乱罪じゃないの?」
「いや、おかしな人は罪に問われないから」
「精神病院ね」
「そっちよ」
逮捕されずにというのだ。
「昔も今もね」
「そうなるの」
「ナチスとかソ連だったら処刑だと思うけれど」
「日本だと」
「おかしな人は昔から罪に問われないでね」
「逮捕されないで」
「おかしな人扱いで」
そうなってというのだ。
「精神病院にね」
「送られていたの」
「それか座敷牢ね」
「昔だとそうね」
「底に入れられていたわ」
「そこでも喚きそうね」
人類滅亡と、というのだ。
「何か」
「そうなっていたでしょうね」
「やっぱりそうね」
「けれどおかしな人は日本ではね」
「捕まらないのね」
「戦前もね」
よく悪く言われるこの頃もというのだ、それを言う人達はそもそも日本の過去全てを悪く言うものであるが維新から戦前は特にである。
「それで江戸時代もね」
「おかしなことを言ってもなの」
「頭がおかしいならね」
「奉行所も動かなかったのね」
「幕府を直接批判すれば罰せられたけれど」
ただしそれをぼかせば幕府は目を瞑った、明らかな幕政批判の忠臣蔵が舞台を室町時代とすれば普通に上演出来たのもその為だ。
「おかしなことを言うとね」
「座敷牢行きで」
「お咎めはね」
これ自体はというのだ。
「なかったのよ」
「魔女狩りとかなかったのね」
「日本で魔女狩りなんてのあったことないよ」
今度はかな恵が言って来た。
「有り難いことに」
「そうだったのね」
「特高警察でもゲシュタポやKGBとは雲泥の差だし」
所謂秘密警察とはだ。
「切支丹の踏み絵をしても」
「それでも」
「そう、魔女狩りはね」
「ああいうのはなかったのね」
「もう魔女と思われたらね」
その時点でというのだ。
「後は恐怖の拷問のフルコースでね」
「自白させられるのね」
「自白しなかったら拷問で死んで」
事実死に至る様な拷問ばかりであった。
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