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そんなものはどうでもなる
第一章

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                そんなものはどうでもなる
 菊川靖奈は黒髪を長く伸ばし左右をツインテールにしている、中学生であり楚々とした大きな目が目立つ整った顔立ちであり成績は普通位でスポーツもそれ位だ。背は一四七位でありスタイルは中学生としては結構なものだ。
 顔立ち以外は普通と言っていい中学生だった、だが。
 彼女はいつも厚着をしていて特に背中は誰にも見せなかった、体育の授業の着替えの時もだ。
 ブラの上にもう一枚いつも着ていた、体操服は夏でもその上から着て水泳の授業の時はその下で着替える位だ。
 兎角背中は見せなかった、それでクラスメイト達は不思議に思った。
「菊川さん背中に何かあるの?」
「絶対に背中見せないわよね」
「まさか怪我とかね」
「だったら聞けないわよね」
「聞いたら悪いしね」
「どうにもね」
 幸いクラスに悪い娘はおらずそれを聞いたり暴く者もいなかった、だが。
 靖奈は気にしていた、家族には密かに話していた。
「何私の背中には痣があるの?」
「そのことね」
「生まれてからよね」
「ええ」
 母が娘に俯いて答えた。
「その背中全体の痣はね」
「そうよね」
「どういう訳かわからないけれど」
「生まれた時からあるのね」
「お母さんが悪いのよ」 
 母は娘に俯いたまま言った。
「貴女にそんなものを付けて産んで」
「お母さんは悪くないでしょ」
「そう言ってくれるの?」
「だってこうしたのって因果でしょ」
 それでというのだ。
「子供の頃本で読んだけれど」
「因果でなの」
「前世のね、それでこうしたことがなるってね」
 その様にというのだ。
「本で書いてたの」
「それでっていうのね」
「私が前世で何かしたから」
「痣があるっていうのね」
「そうだってね」
「貴女は思ってるの」
「うん、前世で何したかわからないけれど」
 それでもというのだ。
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