第一章
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純文学の方が
高原荷風は小学四年生である、この時彼は同じクラスの仲のいい面々と外で遊んでいた。その中でだった。
道に雑誌が落ちているのを見付けた、友人の一人がその雑誌に近寄って中身を確認してから他の者に言った。
「おい、これエロ本だぜ」
「えっ、エロ本か?」
「そうなのか?」
「ああ、見てみろよ」
こう言って荷風達に差し出した、すると。
そこには裸の奇麗な女の人の写真があった、それも何枚もだ。皆それを見て言った。
「凄いな」
「乳首見えてるぞ」
「それにお尻も丸出しだぜ」
「前も隠してないしな」
「すげえな」
「あそこにもっとあるぞ」
最初に見付けた一人が道の端を指差した、するとだった。
そこに雑誌が何冊もあった、どの雑誌もそうしたものだった。
「こっちも裸あるぞ」
「こっちもだ」
「こっちなんか裸で男の人と抱き合ってるぞ」
「漫画もあるな」
「こっちも凄いな」
「おい、一人一冊ずつあるからな」
ここで誰かがこう言った。
「山分けしようぜ」
「それで家に持って帰ってか」
「こっそり見るんだな」
「そうするんだな」
「ああ、そうしてな」
そのうえでというのだ。
「お宝にしようぜ」
「そうだな」
「そうしようか」
「皆でな」
こう話してだった。
彼等はそれぞれ一冊ずつ雑誌を持って行った、それは荷風も同じだった。彼は黒髪を短くしていてはっきりした目と白い肌の普通位の背と体格の少年だった。
その彼も一冊家に持って帰った、家にいる母親に見付からない様に必死に隠して持って入ってベッドの中にその雑誌をこっそりと隠してだった。
同じ部屋にいる二つ上の兄にも一つ上の姉にも見付からない様にいつもビクビクして隠して一人だけになった時にこっそり読んだ。だが。
若し見付かったらどうなるか、いやらしい本を持っていて死刑になるのではとか心配しながら持っていた。
それは子供の頃だった、やがて彼も成長してそうしたことを知っていってそうした雑誌だけでなく漫画も写真集も買う様になり。
隠すことはしてもそれで死刑になるだの思うことはなくなった、そして大学生になった時にだった。
谷崎潤一郎の本を読んで小学生の頃から付き合いのあるあの頃一緒に雑誌を山分けした面々に話した。
「子供の頃エロ本山分けしたよな」
「したした」
「そんなことあったな」
「それで暫くお宝にしてなな」
「小学四年の頃だったな」
「あの時ああした本で興奮して」
荷風は笑って話した。
「持っているだけで悪いことしてるって思ったよな」
「そうそう」
「そんな風に思ってな」
「見付かったら死刑になるとかな」
「親に見付かったらどうなるか」
「持っていても怖かった
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