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イベリス
第三十三話 葛飾のアイスクリームその十二

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「だからね」
「それでなのね」
「そう、それでね」 
「列車に乗って」
「あちこち行けばいいわ」
「お姉ちゃんと一緒に」
「それでいいのよ、じゃあこれからもね」
 咲に笑顔で話した。
「一緒にね」
「色々な場所になのね」
「行ってね」
 そうしてというのだ。
「楽しみましょう」
「高校に入ったから?」
「それが転換点ね、それでね」
 そのうえでというのだ。
「高校に通う様になって定期が手に入ったでしょ」
「それが大きいのね」
「人間些細なことが転換点になるのよ」
「定期が手に入っても」
「それが大きな転換点になってね」
「高校に入ったことは些細でも」
「定期が大きなものになってよ」
 それでというのだ。
「色々な場所に行って」
「そしてなの」
「勉強も出来るのよ」
「定期一枚で」
「そうよ、その定期を使って」
「お姉ちゃんと一緒に」
「色々行きましょう、一人だと危なくても」
 それでもというのだ。
「二人だとね、それに咲ちゃんもスタンガンとか持ってるし」
「お姉ちゃんも持ってるわね」
「護身具はね、だったらね」
「そういうのも二人が持ってると余計に心強いから」
「だからね」
 それでというのだ。
「色々行きましょう、一緒に」
「じゃあね」
「ただ理想は」
 愛はここで笑ってこうも言った。
「私じゃなくて彼氏とよ」
「彼氏!?」
「そう、彼氏とね」 
 そう呼ばれる相手と、というのだ。
「行くことがね」
「いいの」
「それが理想よ」
 そうだというのだ。
「女の子はね」
「そうなのかしら」
「いい人との恋愛もね」
 これもというのだ。
「いいことだから」
「私もなの」
「いい人と出会えたら」
 その時はというのだ。
「楽しくね」
「色々な場所行けばいいの」
「そうしたらいいわ」
「そうなのね」
「そうしたら」
 それでというのだ。
「もっといいわ」
「ううん、彼氏ね」
「そう、いい人いる?学校に」
「いないわ」
 咲は即座に答えた。
「そうした人は」
「そうなの」
「そんなお話はないわ」
 また愛に言った。
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